2024年 4月 18日 (木)

韓国でも展示の九州博物館「百済展」が延期 「持ち出したら戻ってこない」と所蔵者心配

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   九州国立博物館(福岡県太宰府市)で2014年に開催を予定していた「百済展」が、延期されることになった。長崎県対馬の寺から韓国人窃盗団が2体の仏像を盗み出し、今も返還されていないことが影響したという。

   百済展は、九博が他のふたつの博物館と共催し、韓国でも展示する計画だった。そのためか、文化財出品を依頼された所蔵者から「韓国に持っていったら、対馬の仏像のように戻ってこなくなるのではないか」と心配の声が上がった。

韓国の裁判所がまた「日本に返すな」と判断する懸念

いまだに韓国から戻ってこない対馬・観音寺の観世音菩薩坐像(画像著作権:長崎県教育委員会)
いまだに韓国から戻ってこない対馬・観音寺の観世音菩薩坐像(画像著作権:長崎県教育委員会)

   百済展延期のニュースは主要紙が報じたが、九博はこれまで開催そのものを正式に発表していない。九博の担当者はJ-CASTニュースの電話取材に「関係者間で内々に話を進めていた企画」と説明する。

   九博のある太宰府市と、隣接する大野城市と筑紫野市には、かつて百済から来た人々によって築かれた水城(みずき)、大野城、基肄(きい)城という史跡がある。これらが2014、15年に相次いで築城1350年を迎えることから、記念事業として百済展が持ち上がった。

   展示会は九博と奈良国立博物館(奈良市)、さらに韓国の博物館の3か所で、持ち回りで開催する予定だったという。展示物の多くは民間の博物館や寺など他所から借用しなければならず、九博側が出品の内諾を得ようと動いていた段階で対馬の仏像盗難事件が発生した。

   韓国の裁判所は、韓国内に持ち込まれた盗品の仏像について「かつて正当なルートで日本に渡ったのかが証明されるまで、日本に返却してはならない」との仮処分決定を出した。このため文化財の所蔵者から「『貸し出して大丈夫なのか』と問われました」と、九博の担当者は明かす。展示会が韓国の博物館でも開催予定だったため、文化財が韓国に渡ることを心配したのだ。

   読売新聞と産経新聞(いずれも電子版)は5月2日、出展交渉を受けた所蔵者から「韓国に持っていったら返してもらえなくなるのではないか」との不安が寄せられたと報じた。西日本新聞も当初同じように伝えていたが、その後電子版で「韓国での展示を懸念する声が出ていた」とややトーンを落とした。九博に確認すると、「実際に『韓国から戻ってこなくなるのでは』との問い合わせはありました」と認め、こう続けた。

「(心配は)当然だと思います。国宝級の文化財を韓国に持っていった後に、また裁判所が『日本に戻してはならない』という仮処分を出さないとも限りません。当館としては、それ以上は要請できませんでした」
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