2024年 5月 1日 (水)

加藤コミッショナーに強まる批判 それでも官僚体質丸出しで「居直り」か

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   プロ野球の「統一球の無断変更」問題は、日ごとに加藤良三コミッショナーへの風当たりが強くなっている。マスメディアの論調は責任を問うのが大勢だ。しかし、当の本人は居座る構えを崩さない。

「三振」したのに打席に残っている

   「父の日」の16日、テレビ朝日が昼のワイドショーで、野球ファン100人に「コミッショナーの責任」のアンケートを取ったところ「YES」95人、「NO」5人という結果だった。95%が責任を取って辞任を、としたわけである。ファンあってのプロ野球だけに、これは強烈なパンチだろう。

   レギュラーコメンテーターの一人は「(コミッショナーは)三振でしょ。三振した人がまだ打席に残っているということ」と冷めた口調で締めくくった。

   加藤コミッショナーに対し辞任の声が増えているのは、この問題が発覚した12日の記者会見の態度にあった。

「私は昨日(11日)まで知らなかった」
「不祥事とは思っていない」

   知らぬ存ぜぬ、辞めない、と押し切った。

   この問題は11日、コミッショナー事務局の局長が、仙台で選手会から「ボールが飛びすぎる」と追及された挙げ句に、内緒で昨年とは異なるボールを使っていることを暴露。そのときに、コミッショナーに報告している旨も明らかにした。

   これを会見で事務局長は撤回したが、とんだ茶番とだれもが見た。また会見が全国6球場で試合中の夜8時という常識のなさだった。

   選手たちが怒るのは当然だ。試合にたとえれば、いよいよ佳境に入る4回ごろ、主審から「本当は飛ぶボールに変わっていたんだよ」と通告されたようなもので、投手がパニック状態になってもおかしくないタイミング。コミッショナーの「迷惑かけたな。許せ」では済まない話だ。

問題解決を「第三者」に丸投げ?

   翌日の事務局はてんやわんやの状態となった、ファンからの電話が相次ぎ、一時は回線がパンク状態になった。当然のごとくメールも時間を追うごとに増え、1日で抗議は4000件を超えた。

   大リーグのダルビッシュ有もツイートした。

「知らないことはないでしょう。知らない方が問題」

   14日の12球団代表者会議で、コミッショナーは経過説明し、第三者委員会を設置して真相究明をすることになった。

   コミッショナーはプロ野球界の諸問題を裁定する権限を持つ。委員会設置は、いわば最高裁が自らの職務を全うせず、「第三者」に問題を調べてくれ、といっているようなものではないか。問題丸投げで時間を稼ぎ、嵐が過ぎ去るのを待とうという魂胆に見えて仕方がない。

   加藤コミッショナーは外務官僚で駐米大使を長く務めた人物。その官僚気分は抜けないらしく、以前から態度が横柄といわれてきた。年俸2400万円で交際費500万円ほど。専用車と秘書がつく。それで事務所には週1、2回来るだけ。

   代表者会議の後で再び会見に臨んだ加藤コミッショナーは、相変わらず官僚口調で保身に徹底した。

「失態をおわびしたい」

   最初の会見の報道に動揺したのか、珍しく過ちを認める単語を使った。苦渋の判断だったのかも知れない。しかし、その後の話は、居直る言葉を並べた。

「ガバナンスを強化したい」
「野球界発展のため邁進したい」

   すでに、このすり替えたボールの件は、コミッショナーに随時報告が届いていたことが明らかになっている。つまり、裁定者がウソをついたことが明白な状況なわけで、問題そのものの「すり替え」は許されないだろう。

(スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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