2024年 4月 28日 (日)

消費増税、「首相決断」の時が迫ってきた 早ければ8月12日、遅くても9月9日

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   2014年4月に消費税率を8%へ引き上げるかどうかを巡り、政権内の綱引きが続いている。経済再生に政権の命運をかける安倍晋三首相は、今秋まで経済指標などを見極める構えで、明確な方向性を示していない。

   増税で景気回復・デフレ脱却の腰を折りたくない一方、財政健全化に陰りが見えれば国債金利の高騰など反動も心配なだけに、市場の動向もにらみながら神経質な議論が続きそうだ。

「浜田さんが引き上げに慎重なのが大きい」

   政府は、税収など借金以外の歳入で政策経費をどれだけまかなえるかを示す「基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)」について、2015年度にPBの赤字を国内総生産(GDP)比で2010年度(6.6%)から半減、2020年度にはPBを黒字化する目標を掲げてきており、主要20カ国・地域(G20)の首脳会議などでこうした方針を繰り返し表明し、事実上の国際公約になっている。

   消費税率アップ(来年3%、2015年秋にさらに2%)は、こうした「公約」実現の大前提。にもかかわらず、安倍首相が消費税率アップに慎重な姿勢を崩さないのは、デフレ脱却という安倍政権最大の看板と財政健全化をいかに両立させるかという難しい命題を抱えているからだ。

   安倍首相が懸念するのは消費税率引き上げによる景気腰折れ。1997年に3%から5%に引き上げた後に景気が失速し、退陣に追い込まれた橋本龍太郎政権の失敗を意識しているのは間違えない。「浜田さんが引き上げに慎重なのが大きい」とある政府関係筋は指摘する。

   浜田さんとはアベノミクスの立案者である安倍首相の経済ブレーン、浜田宏一・内閣官房参与(米エール大名誉教授)で、このところ、新聞やテレビに積極的に登場して発言。1997年は税率引き上げた一方で所得税などを減税したのと比べ、「今回は増税だけで、ショックはより大きくなるでしょう」(「読売」7月31日朝刊)などとして、具体的に、2段階引き上げを1年延期する、または2段階引き上げでなく毎年1%ずつ引き上げるなどの検討を提案している。

有識者からヒアリングして決める?

   これに対し、財務省はもちろん、与党内でも予定通りの引き上げを求める声が強い。最大の理由が金融市場への影響だ。国と地方を合わせた借金はGDPの2倍の1000兆円規模に膨らんでおり、消費税率引き上げを先送りするなどしたら、市場は財政再建にやる気がないと受け止め、長期金利(国債利回り)が暴騰しかねないからで、「(税率引き上げで)日本経済の成長が大きく損なわれることにはならない」(黒田東彦日銀総裁=7月29日の講演)などの声がある。

   財務省や自民党税調は、消費税率引き上げ実施に向け、「2013年度予算編成などで首相の要望に応えてきた」という自負があり、この先も投資減税など、通常は年末の次年度改正で検討するものを秋に前倒しもするなど、「税率引き上げに向け万全の対応をしている」(財務省筋)だけに、首相の慎重姿勢に神経をとがらせる。

   首相の判断の時期について、これまで、4~6月のGDP成長率を見極めてからというのが大前提で、具体的に、早ければ8月12日の速報値発表後、9月5、6日にロシアで開かれるG20首脳会議まで、そこに間に合わなくても、9月9日の4~6月のGDP改定値を見て判断するという見方が強い。

   政府は「消費増税にどういうリスクがあり、どういう対処をすべきか幅広く聞く」(甘利明経済再生担当相)として、浜田氏をはじめ10人程度の有識者から、経済財政諮問会議などの場でヒアリングした上で判断する構え。税率引き上げのショックを和らげる追加の経済対策も含め、慎重に判断するというが、既定方針通り上げる場合、住宅建築など9月中に契約したものは税率5%でいいなど、経過措置も細かく決まっており、9月中旬以降に大幅な先送りはできない。

   「安倍さんは『消費税引き上げず』と明言して5年の長期政権になった小泉さん(純一郎元首相)を意識している」(政府関係筋)との見方もあるが、さて、首相の決断は?

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