2018年 7月 19日 (木)

脱原発で読売新聞社説に反論し、寄稿 小泉元首相のしたたかメディア戦略

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   「安倍晋三首相が決断すれば『原発ゼロ』はできる」――。小泉純一郎元首相が2013年11月12日、東京・内幸町の日本記者クラブで行った会見が波紋を広げている。3.11後に開眼したという脱原発を主張する元首相の攻勢に菅義偉官房長官らは火消しに躍起だ。

   元首相の人気、世論への影響力は少なくないようで、安倍政権といえども小泉発言を完全に無視とはいかないのは間違いない。

「原発即ゼロは無責任だ」と異を唱えたのは、産経社説

   小泉氏の主張をめぐり、翌13日付の朝刊各紙は賛否が分かれた。朝日新聞、毎日新聞、東京新聞が1面で大きく取り上げ、小泉氏の主張を前向きに評価したのに対して、読売新聞は4面、日本経済新聞と産経新聞は3面で地味な扱いだった。原発推進の読売、日経、産経の中で、小泉氏に「原発即ゼロは無責任だ」と異を唱えたのは、産経の社説(14日付)くらいだった。

   これには理由がある。小泉氏によると、元首相の脱原発発言が注目されるようになったのは、毎日新聞の山田孝男専門編集委員が8月、コラム「風知草」で取り上げてからだ。その後、注目されだした小泉氏の脱原発発言に、正面から異を唱えたのは読売新聞で、社説「小泉元首相発言『原発ゼロ』掲げる見識を疑う」(10月8日付)で、(1)原発の代替策について「知恵ある人が必ず出してくれる」と語るのは楽観的で無責任、(2)火力発電で燃料の輸入が増え、電気料金は上昇を続けている、(3)使用済み核燃料や放射性廃棄物の処分法は技術的に決着している――などと主張した。

「読売の社説の批判に対して、私がどう思っているかということから始めたい」

   これに対して、小泉氏は会見の冒頭、「読売の社説の批判に対して、私がどう思っているかということから始めたい」と、わざわざ名指しで反論。「原発ゼロという方針を政治が出せば、必ずいい案を作ってくれる。官僚も識者も集め、専門家の知恵を借りて進めていくべきだ」「原発をゼロにし、原発建設に向けた費用を再生可能エネルギーに振り向ければ、様々な代替エネルギーの開発が進んでいく」「日本で核のごみの最終処分場のめどをつけられると思う方が楽観的で無責任すぎる」などと、ボルテージを上げた。

   実は小泉氏は今回の会見よりも先に読売新聞に寄稿して社説に反論している(10月19日付朝刊)。元首相が新聞の社説に反論し、寄稿までするのは異例だ。2005年8月の解散・総選挙で、、刺客を擁立した小泉氏のしたたかさを彷彿とさせる。読売が小泉氏の主張を淡々と伝え、自民党の細田博之幹事長代行が「(小泉氏には)敬意を表するが(原発ゼロは)結論として正しくない」とコメントしたとの報道にとどめたのも、今なお人気の小泉氏との全面戦争を避けたいという思いがありそうだ。

   「最終的には国民ですね。世論は軽視できない。大きな底流となっている世論をどう読むかも政治家として大事」「国民の声が、本当に原発ゼロが望ましいというのがだんだん政府に届いていけば、総理だって気づいてくると思いますよ。それが民主主義じゃないでしょうか」――。小泉氏からのそんな言葉が安倍首相を動かす気配は今のところない。

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