2024年 4月 29日 (月)

2億円が全額引き出され行方不明? プリンシバル・コーポレーションの不思議なIR情報

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   東京証券取引所が運営するJASDAQ市場に上場、レストランなどの食品事業や環境事業を展開するプリンシバル・コーポレーションで、約2億円もの大金が行方不明になっている。

   同社が2014年7月22日夜に配信した、「社内調査委員会設置に関するお知らせ」という表題の投資家向けのニュースリリース(IR情報)でわかった。

2億円のありかも、経営への影響も、「委員会で調査中」

2億円が行方不明に…(画像はプリンシバル・コーポレーションのホームページ)
2億円が行方不明に…(画像はプリンシバル・コーポレーションのホームページ)

   深夜のIR情報に、インターネットは「いったい、どういうこと?」と、騒然となった。

「えっ、なんだこれ。上場企業なのwww」
「新種のオレオレ詐欺か!」
「2億もどこやったんだよww」
「なんだか、小説になりそうな話だなぁ」
「2億円が行方不明って… コンプライアンスもなんもないな」

といった声が漏れた。

   プリンシバル・コーポレーションによると、行方不明になっている約2億円は、フィリップ証券が保有していた同社の第5回新株予約権の発行時の払込資金242万934円と、その新株予約権が行使された際に預金口座に払い込まれた2億1011万8800円にあたる。それが全額引き出された後、行方不明となっているという。

   同社では、預金の流出の可能性や事実経緯、違法行為の有無などについては、迅速かつ専門的な調査が必要であると判断。2014年7月22日の取締役会で、社内調査委員会の設置を決議した。

   プリンシバルは、「現在、社内調査委員会で(2億円が紛失したかどうかも含めて)調査中なので、具体的にいつからなくなったのかはお答えできません」と話す。

   しかし、IR情報によると、「6月27日の株主総会の後、当社の現経営陣が本社内を探索したところ、当社の当時の代表印、当時の銀行印、預金通帳及び金庫の鍵の所在が不明となっていることが判明しました」としているので、株主総会のあった6月27日以前に2億円がなくなったことは間違いない。

   しかも、銀行口座から2億円もの大金を引き出したのだから、誰が持ち出したのかは、すぐにでもわかりそうなものだ。

   当時の代表印などを管理していたのは、前社長の松本純氏。同社は7月3日付で、松本氏に代表印などの返還を求める通知を発送した。ただ、「(2億円のありかを)特定できているわけではありませんし、警察への届け出についても委員会のほうでの調査を待って、どうすべきかを判断していきます」と、説明するにとどめている。

背景に、社長交代のゴタゴタが…

   どうやらカギを握っているのは、松本純・前社長のようだ。じつはプリンシバル・コーポレーションはこの社長交代をめぐり、ゴタついた。

   2014年6月27日の株主総会後、同社は松本前社長の後任に、山本明彦氏が新社長に就任したと発表。ところが6月30日には、株主からの修正動議により現在の瀋培今氏が新社長に就いたとIR情報を再開示した。

   もしかしたら、2億円はこうしたゴタゴタの最中に行方不明になったのかもしれない。

   プリンシバルは、現在2億円が手元にないことによる経営や業績への影響についても、「ご報告が必要なことは委員会での調査後、すみやかに開示します」と話している。

   一方、こうした松本前社長の旧経営陣と瀋培今社長の新経営陣の、経営権をめぐる争いによって、プリンシバルは有価証券報告書を法定提出期限の6月30日までに提出できず、同社の株式は東京証券取引所から7月1日付で監理銘柄(確認中)に指定される事態になった。

   有価証券報告書は1日に提出したため、同社は上場廃止(1か月以内に提出できないと上場廃止になる)を免れ、監理銘柄の指定も解除された。

   ただ、同社は有価証券報告書の虚偽記載などで2012年6月には特設注意銘柄市場銘柄に指定されたままの状況が続いている。1年ごとに改善状況を判断していくが、13年9月には「不十分」と判断され、2年目を迎えている。東証は「3年間(現行制度は1年間)、改善がみられなければ上場を取り消す可能性があります」と説明する。

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