2024年 4月 19日 (金)

自殺直前まで前向きだったTENN 「誰にも言えない隠れた秘密」があったのか

   「SPEED」の上原多香子さん(31)の夫でヒップホップグループ「ET-KING」メンバーのTENN(本名・森脇隆宏)さんが2014年9月25日、首をつって死亡した。35歳だった。

   死の前日まで前向きな内容のブログを更新し、遺書にも死を選んだ理由は書いていなかった。突然の自殺に謎は深まるばかりだが、精神科医は「誰にも言えない隠れた秘密、苦しみがあったのでは」と指摘する。

新型iPhone購入、旅行後に「また来年!」

ブログのコメント欄にはファンからの追悼コメントが数多く寄せられている(画像は公式ブログのスクリーンショット)
ブログのコメント欄にはファンからの追悼コメントが数多く寄せられている(画像は公式ブログのスクリーンショット)

   これまでの報道をまとめると、TENNさんは9月25日早朝、大阪市天王寺区にある自宅マンションの駐車場に止めたワゴン車内で首をつっていた。第一発見者は妻の上原さんで、上原さんから連絡を受けた親族が天王寺署に通報した。救急隊員が到着した際は心肺停止状態だったが、間もなくして死亡した。天王寺署は自殺とみている。

   TENNさんは「ET-KING」結成メンバーとして2006年にメジャーデビューし、14年4月の活動休止後は他のアーティストへの楽曲提供などに注力していた。プライベートでは12年8月に上原さんと結婚。子供はいないが2匹の犬を飼っていた。

   日々更新されるブログやSNSからを見る限り、TENNさんの日常は公私ともに順風満帆と思われた。たとえば亡くなる前日のブログだ。「曲を、、0から生み出す作業。なかなか難しいが、出来上がりは嬉しい。さあ作りますか」という短い文章からは、仕事に対する前向きな姿勢がうかがえる。

   亡くなる数日前には自身がキャプテンを務めるフットサルチームの合宿で和歌山県を訪れていて、23日のブログには「お疲れ様でした。また来年!」と2015年に再訪する意向も綴っていた。さらに21日のブログでは発売されたばかりの「iPhone6 Plus」を入手したことも報告していた。いずれも一見すれば自殺を計画している人の言動や行動とは思えないものだろう。

   上原さんとの夫婦仲も良好だったようで、約1か月前の8月23日には2回目の結婚記念日を祝っていた。ブログには2ショット写真とともに「気づけば世間をお騒がせしてから2年、早いような、気もします。これからも夫婦共々よろしくお願いします」と綴り、同日には上原さんも「いつも、支えてくれて、、ありがとう」と感謝の言葉を綴っていた。

   ブログと同様、頻繁に更新していたTwitterやInstagramなどの投稿もネガティブな内容はほとんど見られなかった。

精神科医「これくらいで死のうと決めていたのかも」

   それだけに突然の死はファンに大きな衝撃をもたらした。

   26日にはファンに宛てた遺書が「ET-KING」の公式サイト上で公開された。

「ファンのみんなへ みんなのおかげで音楽をやってこれました。ET-KINGの音楽は、時間をこえて、時代をこえても、ずっと側にある音楽だと思っています。メンバーのこれからを応援してあげてください。本当にありがとう」

   メンバーや家族に宛てたものもあったが、いずれにも亡くなる理由めいたことは書かれていなかったという。取材を進めている芸能リポーターの井上公造氏も26日放送の「スッキリ!!」(日本テレビ系)の中でコメントしていたが、「キツネにつままれたようで訳が分からない」とお手上げだ。

   前触れのない自殺を専門家はどう見るのか。精神科医の町沢静夫氏は「誰にも言えない隠れた秘密や苦しみがあったのではないか」と指摘する。

   一方で「躁うつ病(双極性障害)」、特に躁とうつを頻繁に繰り返すラピッドサイクラーのケースや、躁うつ病よりも軽い「気分循環性障害」のケースの可能性も考えられるという。これらの場合は数日内に気分の変動があり、気分が落ち込んだ際に自殺を図るケースも少なくないそうだ。

   だがTENNさんは遺書が用意していたことなどから、町沢氏は「(衝動的ではなく)これくらいで死のうと決めていたのかもしれません」との見方を示した。

   26日放送の「スッキリ!!」に出演した精神科医の香山リカ氏は、ブログの内容について「悩んでいることや苦しんでいることがあって、むしろブログには自分を励ます意味もあって常に前向きなことを書いたのでは」と指摘した。その上で、ブログに書かれている内容と実際の自分にギャップを感じていた可能性もあるとも分析した。

   TENNさんのブログのコメント欄には「目が腫れそうなほど泣いてます」「ただ、ただ、残念です...」といった悲しみの声や、「たった1人で色々抱え込んでしまったのでしょうね」「抱えてた苦しみ、解き放たれたのでしょうか。...いや、奥様の事を思うと辛かったでしょう」と自殺前の胸の内を思いやるファンからのコメントが多数寄せられている。

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