2024年 4月 20日 (土)

安倍首相、連日の「イライラ」答弁 「朝日憎し」の感情がむき出しに

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   安倍晋三首相が、ここ2日間の国会答弁で感情をむき出しにする場面が目立っている。ひとつが内閣改造後に発覚した閣僚の不祥事、もうひとつが「天敵」朝日新聞についてだ。

   改造前の「安全運転」だった安倍首相からすれば様変わりした、余裕がない状態ともいえ、第1次内閣が崩壊する原因になった「体調不良説」が蒸し返されかねない状況だ。

「個別には結構です」と制止され安倍首相の「感情スイッチ」が入る

安倍首相は朝日新聞の反論に納得していない様子だ
安倍首相は朝日新聞の反論に納得していない様子だ

   2014年10月30日の衆院予算委員会では、民主党の小川淳也議員が、内閣改造時に新たに入閣したメンバーをパネルにして示しながら「ほぼ全滅」などと指摘。これに対して安倍首相は「任命責任者として深く責任を感じている」と陳謝しながら小渕優子前経産相について「国民から負託を受けている議員として、説明責任を果たしていただきたい」と釈明した。さらに宮沢洋一経産相について説明しようとして小川議員から「個別には結構です」と制止されると、安倍首相の「スイッチ」が入った。

「いや、でも個別にって言っても、全体について話をされておられますから、しかも顔写真を出してですね、顔写真を出して...。私はどうかと思いますよ?」

   小川議員は「改造全体の評価を」と、総論について答弁するように求めたが、「火に油」だった。

「ですからしかし、ひとりひとり名前を出されたんだから、それについてはですね、説明をさせていただかなければおかしいじゃないですか!こういう公共の電波を使ってイメージ操作をするのは私はおかしいと思いますよ?そのことについては、ひとりひとりの、安倍内閣の閣僚の名誉がかかってるんですから、話をさしてくださいよ!ひとりひとりについて!よろしいですか?よろしいですね?」

   朝日新聞についても、感情的な発言が続いた。安倍首相が10月29日に自民党本部で行われた側近議員との昼食会で、「これで『撃ち方やめ』になればいい」などと述べたという報道が発端だ。少なくとも朝日新聞、共同通信、毎日新聞、日経新聞、産経新聞が報じた。この点について、枝野幸男議員が10月30日の衆院予算委員会で確認すると、なぜか安倍首相は朝日新聞だけを持ち出して「これは捏造です」。

   これを受け、朝日新聞は10月31日の紙面で、「撃ち方やめ」発言の情報源の人物が、発言は「自分のものだった」と説明を翻したことを報じた上で、「記事は意図的に話をつくった捏造ではなく、取材にもとづいて書いたものです」という東京本社報道局の談話を載せた。

「言っているか言ってないかは本人に確かめるのが当たり前じゃないですか!」

   この朝日新聞の反論も、安倍首相の感情を刺激したようだ。

   10月31日午前の衆院地方創生特別委員会で、民主党の渡辺周議員(元読売新聞記者)が「捏造」の真意を確認しようとすると、安倍首相は、

「私は言ってないんですから。言っているか言ってないかは本人に確かめるのが当たり前じゃないですか!伝聞で、じゃあ、それをいちいち記事にするんですか?なおかつですね、あの朝日の記事は、『これは問題化する』、そういう趣旨のことが書いてありましたね。『問題にせよ』と言わんばかりの記事じゃありませんか」

と一気に話した。朝日新聞の記事では、

「野党の追及が弱まることを期待した発言だが、かえって反発を買う可能性もある」

と論評していた。

05年のNHK番組改変問題も蒸し返す

   次に、安倍首相は05年の「NHK改変問題」を唐突に持ち出した。05年に朝日新聞が、NHKのいわゆる従軍慰安婦問題を扱った番組の放送前日に安倍氏と中川昭一元財務相(故人)がNHK幹部と面会して放送内容に圧力をかけたなどと報じた問題だ。

「ですから、かつて朝日新聞は、私が中川昭一さんとともに、放送内容を変えさせたという記事を書いた。しかし、中川昭一さんは、その番組が放送される前に(NHK側に)会ってすらいないことが明らかになった。私が呼びつけて、そう指示したということも、そうではないということが明らかになった。これはまさに『捏造』ですよね。こういう捏造が起こったかということが問題。それはまさに安倍晋三を攻撃しようという意志があって記事を書くから、こういうことになる」

   「本人に発言内容を確認せずに記事化した」という点では、共同、毎日、日経、産経も同様の過失があるはずだが、安倍氏はこの点には触れずじまい。渡辺議員が、

「この質疑は地方創生のテーマで限られた時間ですから、これ以上はしたくありませんが...」

と質問を切り上げようとすると、安倍首相は笑顔で手招きするような動作をするほどだ。「どんどん来い」と言わんばかりの振る舞いで、理屈よりも「朝日憎し」の感情が先行した形だ。

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