2024年 4月 18日 (木)

GDPマイナス! やっぱり景気は後退していた! 経済専門家は気づいていたのか、それとも...

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   「やっぱり」...... 内閣府が発表した2014年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値が、消費増税後の2四半期連続でマイナス成長だったことに、そう思った人は少なくなかったはずだ。

   2014年4月の消費税率の引き上げ後、政府や経済評論家、エコノミストらは「国内景気は夏以降に回復する」と言い続けていたが、結局は消費者の「肌感覚」のほうが正しかったのかもしれない。

消費、住宅、設備投資も伸びず 景気低迷、鮮明に...

日本の景気は下降線をたどっているのか?
日本の景気は下降線をたどっているのか?

   内閣府が2014年11月17日に発表した7~9月期のGDP速報値(季節調整済み)は、物価変動の影響を除いた実質ベースが4~6月期に比べて0.4%減、このペースが1年間続くと仮定した場合の年率換算では1.6%減だった。

   GDPの約6割を占める個人消費は0.4%増と落ち込みは脱したものの、勢いは弱い。7~8月の台風や大雨の影響もあったが、消費増税前の駆け込み需要の反動減が長期化していることに加えて、アベノミクスによる円安進行で物価が上昇。これに賃金上昇が追いつかず、家計の重しとなったことが大きい。

   企業の設備投資もプラス予想に反して、0.2%減と2期連続で落ち込んだ。景気の停滞で企業が投資計画を先送りしたとみられる。住宅投資も2期連続で落ち込んでいる。

   外需は0.1%増とわずかながらプラスに寄与。ただ、輸出入ともに勢いは鈍い。政府は円安で輸出が増加する効果を期待したが、企業が生産拠点を海外にシフトしたことなどで、想定外に輸出の伸びが弱かった。

   足を引っ張ったのは在庫投資で、7~9月期は0.6%減となった。第一生命経済研究所経済調査部のエコノミスト、藤代宏一氏は「4~6月期は景気落ち込みで在庫が積み上がり1.2%増となっていましたが、7~9月期は需要の鈍化を反映して在庫調整したことが影響。企業が在庫を絞ったことで、在庫投資が大幅にマイナスになりました」と説明する。

   いずれにしても、景気低迷が鮮明になったことは間違いない。「マイナス」がいくつも並び、藤代氏は「やや失望的な結果です」というが、「(GDP)速報値が(予想と)大きくぶれることはよくあること。今回は在庫投資が不透明なことがありました」と、さほど悲観していない。

   先行きの見通しを「大きく変えることもない」といい、「10~12月期の消費は、7~9月期に買い控えた分の押し上げが見込めますし、株高とガソリン安、それに消費税率の再引き上げの先送りから、消費マインドが改善します」とみている。

エコノミストは経済学者ではないし、忙しすぎる?

   とはいえ、2014年7~9月期の国内総生産(GDP)をみて、エコノミストらの見立てが「こんなに狂うのか」との印象をもった人は少なくないだろう。しっかりデータをみていたのだろうか――。

   そもそも7~9月期のGDPを、エコノミストらは平均2%台のプラス成長を見込んでいた。日本経済研究センターが11月12日に発表した、民間エコノミスト42人の景気予測をまとめた「ESPフォーキャスト調査」(11月分)によると、GDP成長率(実質年率)を平均で2.47%と予想していた。

   それでも、10月調査の3.66%増から引き下げ。8月の予測では4.08%増と、4~6月期(7.1%減)から、かなりの持ち直しを見込んでいたが、その後はもう毎月のように下方修正してきたのだ。

   経済アナリストの小田切尚登氏は、「エコノミストといっても、独自に豊富なデータをもっていたり、特別な分析方法があったりするわけではありません。経済学者ではありませんしね。さらにはマスコミの取材や投資家へのレポートの配信など、忙しすぎることもあります」と、精度の高い予測ができない事情を話す。

「どのエコノミストも会社勤めであれば、会社の看板を背負っていますし、ある意味、宣伝マンと同じような役回りがあります。そのうえで、まず自らの立ち位置というか、旗色をはっきりする必要があります。自らの主張に、政府などが横やりを入れるようなことはありませんが、他と比べて目立つことより、マーケットに迎合してしまうことが多いということはいえるかもしれません」

   ちなみに、前出の「ESPフォーキャスト調査」(11月分)によると、14年10~12月期GDPの実質成長率の平均は2.51%と予測。当面は「緩やかな景気回復基調が続く」との予想が大勢を占めた。

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