2024年 4月 24日 (水)

産経が「南京事件」検証連載スタート 一部地域では「虐殺あるはずない」の見出し

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   産経新聞が、いわゆる南京事件を再検証するキャンペーンを展開し、波紋を広げている。連載記事では、1937年の南京攻略戦で陥落した南京城に入城した日本軍の元曹長や兵曹が「人がおらん以上、虐殺があるはずがなか(編注:熊本弁で『あるはずがない』の意)」「南京は誠に和やかに尽きる」などと証言している。

   日本政府は「非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できない」が、殺害された人の数については諸説あり、「認定することは困難」との見解を示している。そんな中で、産経連載は一部地域では「虐殺あるはずない」という見出しで掲載されたこともあり、ネット上で注目を集めている。

「城内は空っぽでした。兵隊どころか、住民も、誰もおらんでした」

2月15日に始まった産経新聞の南京事件に関する連載。東京本社発行の最終版では「城内空っぽ。兵隊どころか住民も」と見出しがついている
2月15日に始まった産経新聞の南京事件に関する連載。東京本社発行の最終版では「城内空っぽ。兵隊どころか住民も」と見出しがついている

   南京事件をめぐる記事は、同紙の連載「歴史戦」の第9部「兵士たちの証言」の初回として2015年2月15日付朝刊の1面トップ掲載された。記事では、南京城に南方の中華門から入城したという元獣医務曹長、城光宣(じょう・こうせん)さん(98)=熊本県山鹿市=の証言を紹介した。

   記事では、当時の状況を

「壊滅状態になった中国軍兵士が城外へ一斉に逃げ、城内は一転して静寂に包まれていた」

と説明した上で、城さんが

「城内は空っぽでした。兵隊どころか、住民も、誰もおらんでした」
「無抵抗の民間人を殺すのが虐殺。だが、人がおらん以上、虐殺があるはずがなか」
「城内では遺体も見とらんです」

と証言した。記事では、

「1週間ほど滞在した南京でも何かあれば当然耳に入るはずだが、虐殺は一切聞いていない」

とも説明している。

   新聞は一般的に、配布地域によって複数のバージョン(版)が製作され、レイアウトや見出しが異なっている。東京本社発行の最終版(15版)の一番目立つ「主見出し」は

「城内空っぽ。兵隊どころか住民も」

というものだったが、証言の

「人おらん以上、虐殺あるはずない」

という文言を主見出しに取った版もあった。こういった見出しを掲げた紙面の写真が、ツイッターで拡散されている。

「南京は誠に和やかに尽きる、という印象でした」

   翌16日の紙面では、南東の光華門から南京入りした元3等兵曹の原田要さん(98)=長野市在住=が

「とても戦争中だとは思えなかった。南京は誠に和やかに尽きる、という印象でした」

と証言している。

   2月15日の紙面には、

「中国は『30万人虐殺』を喧伝するが、77年前、南京で将兵らが見た実像は大きく異なる」

などと連載の趣旨を説明。これまでに紙面に登場した2人も

「30万人も虐殺したというのはでっち上げですたい。貶められるのは我慢ならんです」(城さん)
「何十万人もの大虐殺は信用できない。もし、大虐殺があれば、中国人はわれわれに和やかに接しただろうか」(原田さん)

とある。ツイッター上に寄せられた記事への反応に目を通すと、連載の趣旨について、東京裁判で認定された犠牲者数「20万人」や、その後中国政府が主張する「30万人」に反論するのが目的だといった受け止め方や、中には、南京事件そのものが「なかった」と主張するつもりだと受け止める読者も相当程度いるようだ。

   外務省のウェブサイトでは、「『南京大虐殺』に対して、日本政府はどのように考えていますか」という疑問に答え、

「日本政府としては、日本軍の南京入城(1937年)後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できないと考えています」
「しかしながら、被害者の具体的な人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数かを認定することは困難であると考えています」

と説明している。

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