大阪市給食を「これ餌やで」と中学生 橋下市長「日本の飽食時代を象徴」と激怒

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   大阪市が市内全市立中学校を対象に実施している、弁当箱のデリバリー方式による給食が市議会で問題になっている。実際、市議のひとりが中学校を視察した際に、生徒が給食を「餌」呼ばわりしていたと明かしたのだ。

   ところが、橋下徹・大阪市長は「食べ物に対してこういうことを言うのは、教育がなってない」と猛反論した。どちらが正しいのか、賛否両論ありそうだ。

給食を食べない理由「おかずが冷たいから」が最多

大阪市中学校の給食の一例。このときの献立は酢どり、赤魚の中華焼き、粉ふきいも、チンゲンサイとコーンの炒めもの、もやしのナムル、中華スープ、ごはん、牛乳(写真提供:大阪市教育委)
大阪市中学校の給食の一例。このときの献立は酢どり、赤魚の中華焼き、粉ふきいも、チンゲンサイとコーンの炒めもの、もやしのナムル、中華スープ、ごはん、牛乳(写真提供:大阪市教育委)
「中学校給食を視察した際、1年生の生徒から『おっちゃん、これ給食ちゃうで、餌やで』と、中学校給食の本質を突いた鋭い言葉が返ってきた」
「僕の子どもがそんなこと言ったら大激怒する。日本の飽食時代を象徴しており、国の崩壊につながりかねない」

   これは2015年2月27日の大阪市議会で、給食事業について指摘した民主党の福田賢治市議と、これに猛反発した橋下市長とのやり取りだ。市長は、保護者らが給食を試食した際にも「餌だ」というような不満は出ていなかったと主張。「(食べ物に対して)『ありがたい』という感謝の気持ちがないとだめじゃないか。子どもたちを甘やかし過ぎ。食育をして現場で教育し直すべき」と切り捨てた。

   大阪市は2014年4月から、市内市立中学校での給食提供を本格的にスタートし、現在では128校が対象となっている。市教育委員会による献立にもとづいて民間業者が調理し、弁当の形で各校へ配送する仕組みだ。届けられた給食は、昼食時間まで学校の配膳室の保冷庫や保温庫で保管される。

   だが生徒の評判はいまひとつ芳しくない。2014年6月に全市立中学校を対象に実施されたアンケート結果は、とてもシビアだ。「おいしくない」と答えた割合が66.3%に上り、給食を食べる分量が半分以下とした生徒は73.4%にもなる。その理由として最も多かったのが「おかずが冷たいから」で、38.8%だ。実は調理の際に衛生上の観点からおかずを急速冷却し、配送後も保冷や保温管理はされるが加熱することはない。

   一方で温かいメニューは人気だ。アンケートではカレーや汁物の提供についての設問で、42.9%の回答者が「回数を増やしてほしい」としている。中学校給食を担当する市教委学校保健担当もこの点を把握しており、J-CASTニュースの取材に対して「2014年7月には汁物の週2回提供を始め、10月にはハヤシライスやクリームシチューを加え、2015年2月から回数を週3回に増やしました」と答えた。

衛生面を考えて急速冷却してから配送

   温かいカレーや汁物はどのように提供しているのか。市教委の話では、保温性の高い「食缶」と呼ばれる容器を用いて、熱を逃がさないまま届けるようにしているそうだ。一方、ほかのおかずの場合は、仕切りのあるひとつのプレートに炒め物や煮物、野菜サラダなどさまざまな種類を入れているため、すべてを温めてしまうとおかずによっては味が損なわれる恐れがある。何より衛生面を考えると、いったん冷却してから常温に戻した方がよいとの判断だ。ただ市内の市立小学校では、各校の給食室でつくる「自校調理方式」が多いため、中学校の給食と「温かさ」を比較する子どもはいるだろう。

   給食の量については、育ち盛りの中学生のために2014年8月からご飯の「おかわり用」の追加提供を開始。アンケートで希望が寄せられたメニューを取り入れるなど、市側は工夫を続けている。

   果たして橋下市長が言うように「教育がなってない」のか、子どもにとって本当に「残念な給食」なのか。インターネット上では「冷えた給食とか気の毒」「あんまりおいしそうじゃない」「これで文句とかバチが当たる」と、賛否が分かれた。

(2015年3月3日10時10分追記)記事内に「冷凍」との表記がありましたが、「冷却」に訂正します。申し訳ありませんでした。

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