2024年 4月 26日 (金)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
「2極の一角」へ最後の好機 大阪は「都」になるべきだ

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首都のバックアップ機能をもつ

   阪神高速、首都高速ともに、国の出資は50%であるが、実額でみれば、首都高速は、首都の高速なので、関西高速に比べて3割以上多くなっている。国の出資は、無利子融資と同じなので、国は補助金を与えているのと同じである。こうした補助金効果は、筆者が役人時代に導入した政策コスト分析によって把握できる。2005年当時で、将来の36年間で、阪神高速は2083億円、首都高速は3199億円の国からの財政支援を得るとされていた。

   これでわかるだろう、阪神高速は首都高速に比べて1000億円も少ない国からの財政支援に甘んじているのだ。

   と同時に、地元自治体の関与も、両社ではコントラストがある。両社の主要役員の出身をみると、阪神高速は、鉄道会社1、国交省2、プロパー1、一方の首都高速は、東京都2、国交省1、プロパー1である。阪神高速において大阪府と大阪市がともに出資していながら、どちらも1人の役員を送り込めない。しかし、首都高速では、東京都に出資が集約されているので、2人も役員を送り込んでいる。

   要するに、阪神高速は、国からのカネの引き出しもうまくできていないが、さらに大阪府と大阪市は関与できずに、国からの天下りが跋扈している。このため、実際の高速道路運営では、計画がうまく進展していない箇所がある。一方、首都高速は、国からカネをうまく引き出し、役員も送り込んで東京都が運営の主導権をもっている。こちらの実際の運営は、都市計画とうまく合って円滑に行われている。

   これは、大阪市が政令都市に固執して、結果として得るものがなかったという事例だ。

   大阪が、二極の一つになれば、首都のバックアップ機能をもつようになる。いわば、首都のコピーである。現在のところ、首都のバックアップができるのは大阪以外には考えられない。今、このチャンスを逃すのはもったいない。大阪市は、政令市の中で人口減少し衰退している希有な存在だ。大阪都を逃せば、その傾向はさらに拍車がかかるだろう。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)、「図解ピケティ入門」(あさ出版)など。


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