2024年 4月 24日 (水)

学校プールで飛び込み事故続発 専門家から「全面禁止」求める声

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   夏本番、学校では体育でプールの授業がはじまっている。

   涼しげで楽しそうだが、そんなプールの授業で飛び込み事故が相次いで起こっている。1983年度以降、学校のプールで飛び込みによって後遺障害を負った事故は169件。このうち、「頭頸部」の外傷に起因する重大事故は151件(89.3%)を占めているという。

  • 学校プールでの「飛び込み」は危ない?(画像はイメージ)
    学校プールでの「飛び込み」は危ない?(画像はイメージ)
  • 学校プールでの「飛び込み」は危ない?(画像はイメージ)

プールの水深浅く、底や壁面に頭を強く打ちつける

   学校での飛び込み事故は、つい最近も岐阜県多治見市の中学校で起きた。2015年6月26日、体育の授業中に男子生徒(14)が飛び込み台からプールに飛び込み、頭を底に打った。男子生徒の様子がおかしいことに別の生徒が気づき、救急搬送した。担当教諭は他の生徒の指導に当たっており、事故を見ていなかった。命に別条なかったが、事故後は全身がしびれた状態だった。

   7月14日には、長野県坂城町の県立高校で3年の男子生徒(17)がプールに飛び込んだ際に、底に頭をぶつけた。水中でもがいていたことから、教師と他の生徒がプールサイドに運び上げたが、手のしびれを訴えて病院に搬送された。首を骨折したという。

   こうした事故の原因は、学校のプールの深さにあるとみられる。学校のプールは溺水防止のために水深が浅く設計されて、小・中学校の場合は水深0.8メートル以上とされる。その一方で日本水泳連盟の「公認プール施設要領」によると、五輪などの競泳用プールの水深は3メートルを推奨。「プール水深とスタート台の高さに関するガイドライン」で、いかなる飛び込み姿勢であっても安全が確保されるのは「3メートル以上」と記している。

   事故のあったプールは、岐阜県多治見市の中学校のケースで水深約1.1メートル。長野県坂城市の県立高校で約1.3メートルだった。

   安全を確認せずに勢いよく飛び込んだところ、水深が浅くて事故につながったり、技術が未熟なのに指導者なしでスタート台から飛び込んだりしたようだ。最近は身長170~180センチメートルといった背の高い児童や生徒も少なくない。水深1メートル程度では浅すぎるのかもしれない。

「水中からのスタート」イコール「飛び込み禁止」ではない

   とはいえ、文部科学省は「(学習指導要領には)『飛び込み禁止』とは書いていません。『水中からのスタート』を指導するようにしています」と説明。安全への配慮も含め、「プールには静かに入るよう指導しているはずです」と話す。

   たしかに、学習指導要領を解説する「水泳指導の手引」によれば、スタート時の指導について、小学校では「水中からのスタート」、中学校は「泳法との関連において水中からのスタート及びターンを取り上げる」とされ、「飛び込みスタート」については、高校で初めて「段階的な指導を行うとともに安全を十分に確保すること」と記している。

   文科省の説明によると、「水中からのスタート」イコール「飛び込み禁止」ではないということのようだ。

   ただ、「ふだん飛び込みの練習をしていないはずですから、水泳大会などのスタート時に飛び込みをするとは考えにくい」ともいう。「学校では、学年や体格、泳力などを考えて、それに応じた対応を図るよう、安全に万全を期すよう注意しています」と強調する。

   そうしたなか、名古屋大学大学院教育発達科学研究科の内田良准教授が、2015年7月19日付のBLOGOSで、「学校のプールでまた飛び込み事故 授業では全面禁止を!!」と呼びかけ、ネットで話題になっている。

   内田氏は、繰り返される学校のプールでの飛び込み事故に、「いったい何回『コピペ』の事故が続けばよいのだろう」と訴えた。

   これにインターネットでは、

「これは知らんかった。なにか改善策が必要ですね」
「学校のプールを深くしたらしたで危なそうだしね」
「これは禁止したほうがいいな」

といった「禁止」に賛同する声と、

「指導者のいない時間帯や指導者の言うことを聞かない子は必ずいるので、事故は起こるよ。何でもダメダメいいよったら、何もできない子になるんじゃないかな?」
「私の中学のときは、飛び込み指導はありませんでした。むしろするなと注意されていました」

など、指導が行き届いている学校があることや「飛び込み禁止」に否定的な声も寄せられている。

   内田准教授は、「体育の授業だけでなく、水泳部の部員などの飛び込みがうまいと思われる人も事故に遭っていることを考えると、やはり学校のプールの水深が浅いことが問題なのだと思います」と話す。そのうえで、「五輪をめざす選手もいますから、部活で飛び込みをやめるべきとはいいません。ただ、深いプールを借りるなど手当てして、少なくとも学校のプールではやめたほうがいいと考えています」という。

   ちなみに、文科省はプール授業での「飛び込みの全面禁止」について、「そういった議論はしていません」と言いきった。

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