2024年 5月 4日 (土)

乳がん女性の心のダメージ防げ 抗がん剤の脱毛防ぐ頭皮冷却装置

人気店や企業から非公開の招待状をもらおう!レポハピ会員登録

   抗がん剤による抜け毛は、特に女性患者にとって一番つらい副作用といわれるが、米食品医薬品局(FDA)は2015年12月8日、乳がんの抗がん剤治療を受けている女性の脱毛を予防する頭皮冷却装置(商品名『ディグニキャップ』)を初めて承認した。

毛根の根元に届く抗がん剤の量を減らし、抜け毛を防ぐ

   ディグニキャップは、米医療機器メーカーのディグニターナ社が開発した。コンピューターで制御された冷却水が流れるヘッドギアを頭にかぶり、頭皮を冷やすことで血管を収縮させる。そして、毛細血管の先端にある毛根の根元に届く抗がん剤の量を減らし、抜け毛を防ぐ仕組みだ。

   ステージ1、2の乳がん患者122人に使った臨床試験では、66%の人が「脱毛が半分程度にとどまった」と判定した。副作用として、頭部の冷却による頭痛や、長時間の装着による肩こりなどがみられたが、FDAは、「脱毛予防は、女性患者の生活の質の維持に大きな利点になるうえ、抗がん剤治療の効果への影響は非常に少ないと判断した」と説明している。

髪の毛を失うことは、乳房の切除より辛い

   脱毛を起こしやすい抗がん剤には「アドリアシン」「タキソール」「タキソテール」などがあるが、乳がんの治療に使われるものが多い。2009年に日本の国立がん研究センター中央病院が、通院治療中の乳がん患者に「治療の影響で苦痛と感じるものは?」を尋ねた調査では、苦痛度が一番高かったのが「脱毛」で、2位の「乳房の切除」を上回っていた。

   日本のメーカーでも、頭部を冷却する方式の脱毛予防装置の開発が進められており、2015年11~12月に開かれた日本乳癌学会の近畿と関東地方会で、毛髪クリニックのリーブ21が試作機を展示している。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中