2024年 4月 29日 (月)

トヨタ労組、過去最高益なのに「ベア要求」半減の理由 優等生「春闘」に着いていけない系列企業たち

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グループ企業の過半数は減益の見通し

   問題は、トヨタの正社員が過去最高のベアの恩恵を受けることができたとしても、トヨタグループ内では業績にばらつきがみられ、「ベア4000円」が広がっていかなかったことだ。トヨタグループの労働組合でつくる全トヨタ労働組合連合会(全トヨタ労連、加盟315組合・33万5000人)の調査では、製造業系企業121組合の2015年春闘の平均妥結額(ベア)は1313円にとどまり、ベアが実現しなかった例もあった。トヨタ自体は2016年3月期も営業利益が2兆8000億円と過去最高を更新する見込みだが、グループ企業全体にその勢いはなく、全トヨタ労連加盟労組の会社の過半が2016年3月期に減益の見通しという。

   デフレ脱却には賃上げがカギを握るとみる安倍政権は経済界に繰り返し春闘での対応を求め、勤続年数などに応じて上昇する「定期昇給」分を含めて3%の賃上げを促している。また、2%の物価目標を掲げる日銀の黒田東彦総裁は1月5日、連合が開いた新年交歓会に出席して初めてあいさつし、「労働者側に(賃上げの)強い追い風が吹いている」と述べ、しっかり交渉するよう尻をたたいた。黒田総裁の異例の振る舞いはメディアでも大きく取り上げられた。

   1月15、16日に東京都内で中央委員会を開いた全トヨタ労連は2016年の春闘について、「ベア月額3000円以上」とする統一要求を正式決定した。佐々木龍也会長は15日の記者会見で要求額について「業績などを総合判断した。みんなで取り組める」と述べ、グループ内の賃金格差の是正を重視する考えを示した。

   そんなこんなで全トヨタ労連に加盟するトヨタ労組は下限の3000円を要求するわけだが、会社が最高益を見込む中で前年回答額を下回る要求という、あちらにもこちらにも配慮するトヨタ労組の難しい立場を示す。回答が出るのは例年通り3月中旬だ。

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