2024年 5月 3日 (金)

トヨタはなぜ「5大陸走破」を目指すのか 「もっといいクルマづくり」にかける想いとの関係

トヨタが考える『もっといいクルマづくり』とは

――豊田章男社長は、なぜモータースポーツに力を入れているのでしょう。

柳澤「すべては『人づくり』のためだと思います。やはりテストコースの走行だけではいいクルマは作れないですし、開発に携わる人は実際の道を知らないといけない。そうした実践の極致にあるのがモータースポーツです。限られた時間、過酷な環境下で実践経験を積むことで、いいクルマを作るためのセンサーが研ぎ澄まされた人間が育ちます。そういった意味で、特に力を入れているのではないかと」

――社長が、そしてトヨタが考える「もっといいクルマづくり」とは何ですか。

杉田「我々が章男社長にこの質問をすると、怒られるかもしれません。きっと、この質問に答えはないと思いますが、強いて言うならば『もっといいクルマづくりとは何か?』を考え続けることでしょうか。たとえば、モータースポーツの場ではクルマの性能が第一ですが、一般の方にとってはそれだけが大切なのではありません。販売店の対応や、アフターサービス、会社そのものの評判などすべて含めて『その人のクルマ』だと思います。お客様にトヨタのクルマを『愛車』と呼んでもらうために、自分は何ができるのか。我々は常に新しい考えを取り入れながら、探り続ける必要があると考えます」

――最近、「若者のクルマ離れ」とよく言われます。そんな中、TGRを通じて、若い世代に向けてクルマの楽しさを、どうPRしていきますか。

柳澤「若者のクルマ離れが進んでいると言いますが、実際はクルマを敬遠する人が増えたというよりは、『クルマがあまり身近にないから興味がない』という人が多い印象です。たとえば、採用活動なんかで若い人にモータースポーツや5大陸走破の話をすると、興味を持ってくれる人はたくさんいます。多くの若者が『クルマと触れ合う機会そのものが少ないから楽しさを知らない』のであって、決してクルマを嫌いな人が増えたわけではないのです。豊田社長はよく、『若者が(クルマから)離れたんじゃない。我々が(若者から)離れたんだ』と言います。だからこそ我々は、TGRの取り組みの中で様々な場所でモータースポーツの楽しさを伝えたり、クルマに触れ合う場づくりを行うことで、若者がクルマの楽しさを知り、クルマのファンになるきっかけを増やしていかなければな、と思います」

【プロフィール】

杉田憲彦 車体の強度・衝突・振動騒音性能開発を歴任し、業務改革企画を経て豪州走破から5大陸走破プロジェクトに携わる。プロジェクト活動を技術的な側面から支える。

柳澤俊介 入社以降国内営業部門でマーケティング企画を担当。現在はTGRのブランディング担当で、5大陸走破には14年の豪州から携わっている。豪州、北米で走破メンバーとして参加。

1 2
姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中