英国のエリザベス英女王がバッキンガム宮殿で2016年5月10日(現地時間)に開いた園遊会で、中国の習近平国家主席が15年10月に国賓として英国を公式訪問した際の中国側の振る舞いが「非常に失礼だった」と発言したことが分かった。両国は経済関係の強化を進めており、習主席の公式訪問は「大成功」だというのが表向きの立場。女王の思わぬ「不規則発言」が波紋を広げている。警備責任者を紹介されて「それは大変でしたね」園遊会の様子は代表取材のカメラが撮影しており、16年5月11日にBBCなどが放送した。それによると、ガイド役の男性が、習主席訪英時の警備責任者だった警察幹部の女性を女王に紹介し、女王は「それは大変でしたね」と、ねぎらいの言葉をかけた。ガイド役が「非常に中国側には悩まされたが、職務をやり遂げた」と幹部の立場を説明し、発言を促すと、幹部は「御存じかどうかは分かりませんが、非常に大変でした」と切り出した。すると、女王は「知っていますよ」と応じた。さらに女性は警備の苦労について、「(習主席)一行が(イベントが行われていた)ランカスター・ハウスから出てきて、私に『旅行は終わりだ』と言った時には...」などと明かし、女王は「彼らは大使に対して非常に失礼でした」と話した。幹部が、習主席一行の「失礼」な様子を「そうです。バーバラ(北京駐在のバーバラ・ウッドワード大使)は私と一緒にいましたが、彼らは私たちを前にして出て行きました」と具体的に説明すると、女王は「それは異常なこと」と驚いた様子。幹部も「非常に失礼で、非常に無神経なことだと思いました」と、怒りが収まらない様子だった。BBC映像は「真っ黒」にただ、両国ともに、事務方は火消しに躍起だ。BBCによれば、バッキンガム宮殿の広報担当者は「女王の個人的発言にはコメントしないが、公式訪問は大成功で、あらゆる事柄がスムーズに進むようにすべての関係者が緊密に連携した」などと釈明。中国外務省の陸慷報道局長は5月11日の定例会見で、「両国の(外交団の)多大な努力によって、公式訪問は大成功だった。このことは両国が大いに認識している」と歩調を合わせた。記者が「英国側の発言が2国間関係に影響する懸念はあるか」と追及すると、陸氏は「公式訪問は2国間関係の『黄金期』の先駆けだ。この点は英国側も同意している」と反論した。BBCによると、女王の発言を伝えるBBCのニュース映像は、中国国内では真っ黒な映像に差し替えられた。検閲が原因だとみられるが、中国当局としても発言が中国国内で広まるのを防ぐことはできないと判断したようだ。中国共産党系の「環球時報」(電子版)は両国政府の見解を報じながら「英メディアが女王のプライベートをばらした」などとする論説を掲載。女王の発言を単なる「ゴシップ」に矮小化することで、外交・政治問題化することを避ける狙いがあるとみられる。
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