2024年 5月 1日 (水)

出光興産の統合めぐる「VS創業家」 ささやかれる経営陣の強硬策とは

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経営陣と創業家の話し合いは難航も予想される

   株式上場後も出光興産は業界再編とは距離を置き、独立路線を守ってきた。東京都心で出光美術館を運営し、テレビ朝日系でクラシック音楽の番組「題名のない音楽会」のスポンサーを長く続けているのも、「人間尊重」で公益性を重んじる創業家の意向によるもので、出光興産の「古き良き伝統」といえる。テレビなどで流れるCMも、やや独善的と受け止める向きもあるが独特のカラーがある。

   しかし、状況は「古き良き時代」との決別を迫る。国内ではハイブリッドカーの普及や人口減少、若者のクルマ離れでガソリンなど石油製品の消費は右肩下がり。国内の製油所や系列ガソリンスタンドの統廃合は喫緊の課題となっている。そんな中で経営陣が昭和シェル石油との経営統合に進んだのは、経済的には、確かに合理的な判断といえるだろう。

   創業家は昭和シェルとの社風の違い、特に労組の有無の違いなどを問題視していると伝えられる。7月11日に月岡隆社長ら経営陣は昭介氏らと会談することになっており、創業家を説得し、理解を求める方針だ。ただ、統合交渉が報じられたのが2015年7月で、11月に基本合意書を締結したが、統合への創業家の懸念を経営陣が知ったのは同年12月、代理人を通じて伝えられた時といい、経営陣と創業家のコミュニケーション不足、創業家への経営陣の配慮の欠如は否めないところ。このため、経営陣と創業家の話し合いは難航も予想される。

   不調に終われば、合併承認の臨時株主総会では「賛成・反対」の委任状争奪戦に発展することになりかねない。出光経営陣が増資によって創業家の持ち株比率を低下させる強硬策に出る可能性もささやかれる。

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