2024年 4月 17日 (水)

都会で増え続けるアライグマの脅威 一見かわいいが「病原体のデパート」

「ゾンビ」のように狂犬病ウイルス媒介

   アライグマはほかにも、人間にとって危険な病気をたくさん持っている。先述の「クローズアップ現代+」では、酪農学園大教授の浅川満彦氏が、アライグマを「病原体のデパートみたいなもの」と表現した。

   ひとつは、マダニだ。アライグマに付着して、危険なウイルスを媒介する。番組で紹介されたのは「重症熱性血小板減少症候群ウイルス」だ。国立感染症研究所のウェブサイトによると、感染した場合に発熱や腹痛、おう吐、意識障害、出血症状を起こし、致死率は6.3~30%になる。2016年8月31日時点での国内の死亡例は48例だ。アライグマが媒介した事例があるかどうかは分からないが、少なくともそのリスクはある。

   ほかにも、狂犬病が考えられる。「クローズアップ現代+」に出演した国立環境研究所の五箇公一氏は、狂犬病にかかった動物は通常すぐに死亡するが、アライグマはまるで「ゾンビ」のように、ウイルスを持ち運びながらしばらく生き続けると話した。厚生労働省のウェブサイトによると、今日国内で狂犬病の発生はないが、「日本の周辺国を含む世界のほとんどの地域で依然として発生しており、日本は常に侵入の脅威に晒されている」と説明しており、油断は禁物だ。

   アライグマは見かけが非常にかわいいので、つい近づいてしまいがちだが、犬や猫とは比較にならないくらい狂暴だ。噛まれると狂犬病の恐れがある。危険な感染症を回避するためにも、偶然出くわした場合、捕獲を試みようとしたり、むやみに触ったりしないように気を付けたい。

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