2024年 4月 20日 (土)

「サクマ」ドロップ、実は2種類 ネットで微妙に違う缶デザイン話題

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   レトロな懐かしさが詰まった缶入りの「サクマ」ドロップには2種類ある、とインターネットなどで話題になっている。

   「佐久間製菓」が製造・販売する「サクマ式ドロップス」と、「サクマ製菓」がつくる「サクマドロップス」。いったい、どうなっているのだろう――。

  • 2つの「サクマ」ドロップ、どちらも「なつかしい味」がする…
    2つの「サクマ」ドロップ、どちらも「なつかしい味」がする…
  • 2つの「サクマ」ドロップ、どちらも「なつかしい味」がする…

「火垂るの墓」の節子が持っていた飴

   2016年9月末ごろから、ツイッターで「サクマドロップス12連ガチャ」という、名前を入れるとキャンディーで診断されるゲームが流行ったようで、そのなかに2社の違いを説明するツイートが続々と寄せられている。

   「昭和」のなつかしいキャンディーで、おそらく多くの人が子どもの頃に一度は口にしたことがあると思われる「サクマ」ドロップ。もちろん、現在でもスーパーなどの棚に並んでいるが、よく見るとネーミングや缶のデザイン、色遣いが微妙に異なる。また、缶の中に入っているキャンディーの形や味の種類も違う。

   そんな「サクマ」ドロップは、2つの別々の会社が販売している。つまり、「サクマ」ドロップは2つあるのだ。

   その一つが、1988年4月に公開されたスタジオジブリのアニメ映画「火垂るの墓」で主人公・清太の妹、節子が大切にしている甘いお菓子、「サクマ式ドロップ」だ。

   明治から大正、昭和、平成まで続く超ロングセラーで、1908(明治41)年に佐久間惣次郎商店(現・佐久間製菓)が「サクマ式ドロップス」を発売したのがはじまり。

   1913(大正2)年には、定番となった缶入りが発売された。それまで日本でつくられていたキャンディーと異なり、クエン酸を使って「夏でも溶けにくい」、保存性の高いキャンディーをつくった。2008年には、誕生100周年を記念して戦時中のデザインを再現した復刻版を発売している。

   発売元の佐久間製菓(東京・池袋)によると、「サクマ式ドロップス」は赤い缶に、三本の菱形の中心にヨットの絵が描かれているマーク(商標)を用いている。いちご、レモン、オレンジ、パイン、りんご、ハッカ、ブドウ、チョコの味は、「伝統を重んじており、これまで味を変更したことはありません」と語る。

   2つの「サクマ」ドロップが存在することについて、佐久間製菓は

「太平洋戦争がはじまり戦況の悪化とともに徐々に原材料の供給が止まり、会社は解散になりました。戦後、元社員が旧『佐久間製菓』の商標権を買い取り、1948(昭和23)年に設立したのが現在の佐久間製菓になります」

と説明する。

太平洋戦争で会社はいったん解散

   一方、「サクマドロップス」を製造・販売する「サクマ製菓」(東京・目黒)は、1947年に旧佐久間製菓の山田弘隆社長の三男、隆重氏がドロップス以外のキャンディーを製造。翌48年には「サクマドロップス」のネーミングで製造を開始した。

   緑色の缶に、マークには王冠とヨットの絵が描かれている。味は8種類。いちご、レモン、オレンジ、パイン、りんご、メロン、すもも、ハッカのフルーツをベースとした構成。今では地域を限定したフルーツ果汁などを使用した姉妹品を展開しており、おみやげ品としての需要が高いという。

   終戦後、ほぼ同時期に2つの「さくませいか」が設立されたことになるが、両社は協議の結果、佐久間製菓が「サクマ式ドロップス」の商標を使うことが認められ、一方は「サクマ製菓」を名乗ることが認められた。また佐久間製菓、サクマ製菓はともに、「サクマドロップス」(商標)のネーミングについては「共有」の権利として使用していくことや、販売活動などの際にお互い誹謗中傷しないことなどを取り決めた、と説明する。

   両社とも「伝統の味」を変えたことはなく、元の製造法が一緒なので、どちらの「サクマ」ドロップを口にしていたか、とくに気にする消費者もいなかったようだ。佐久間製菓は「混同されることがないとはいえませんが、苦情などになったことはありません」といい、サクマ製菓も「とくに苦情はありません」という。

   さらにJ‐CASTニュースが「商品名の変更を考えたことがないか」聞いたところ、佐久間製菓は「まったく考えたことはありません」、サクマ製菓も「戦前からの、長く皆様に愛されている商品であるため、変更しようと考えたことはありません」と、こだわりをみせる。

   サクマドロップはいまどき珍しい「共存共栄」の商品のようだ。

   ただ、「佐久間製菓」と「サクマ製菓」のホームページのURLも末尾が、前者が「.co.jp」と後者が「.com」の違いしかなく、「何ともややこしい」などといった声もある。

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