2024年 5月 5日 (日)

若い女性が都会を捨てる モテる「地方」の魅力と落とし穴

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   都会から地方への移住を目指す人がじわじわ増えている。老後を田舎でのんびり暮らしたいという中高年夫婦だけでなく、子育てに適した環境を求める若い女性の希望も増えているという。東京への一極集中を解消することなどを目的に、国が地方移住を促進し、全国の自治体が支援施策を拡充していることも大きな背景にあるようだ。

   移住者がどのぐらいの数に上るかの正確なデータはないが、毎日新聞とNHK、明治大学地域ガバナンス論研究室(小田切徳美教授)が行った共同調査(2015年12月公表)によれば、14年度に地方自治体の移住支援策を利用するなどして地方に移住した人は1万1735人と、1万人を超えた。09年度から5年で4倍以上に増えたというが、「実際にはこの数倍の人が移住しているはず」(移住問題に詳しい専門家)との見方は強い。

  • 地方移住者への支援拡充が進むが…(画像はイメージ)
    地方移住者への支援拡充が進むが…(画像はイメージ)
  • 地方移住者への支援拡充が進むが…(画像はイメージ)

最大の目的は、良好な子育て環境

   これまで地方移住といえば、中高年男性が妻とともに余生を快適に過ごすために希望することが多かった。しかし、複数の支援団体によれば、最近多くなっているのは若い女性たちだという。その最大の目的は、良好な子育て環境だ。

   ある専門家は「東日本大震災での原発事故を機に、子供が食べるものの安全性はできるだけ自分の目で確認したいという人が増えている。また、都会では待機児童問題が深刻で、こうした煩わしさから逃れたいという女性たちの意識も強まっている」と話す。

   地方で暮らせば、自分で野菜を育てたり、目の届く範囲で採れた作物を購入したりすることは可能だ。また、地方の多くでは都会のような待機児童問題がないうえ、義務教育費の無償化に乗り出す自治体さえある。よりよい子育て環境を求める人たちにとって、地方の魅力は大きい。

   一方、政府は2020年までの目標として、東京圏から地方への転出を13年の37万人から4万人増やし、地方から東京圏への転入を47万人から6万人減らすことを掲げている。国ぐるみで地方移住を促す動きが広がる中、過疎化に悩む自治体がここ数年、移住者向けの施策を急速に増やしている。「移住・交流推進機構」が移住希望者に紹介するため、情報として集めている各地の自治体の支援策は、13年度はわずか531件だったのが、16年度は8496件にも上った。

移住する時だけ高額な助成金

   例えば、島根県益田市のシングルマザー(ひとり親家庭)への児童扶養手当支給(児童1人で最大月額4万2330円、児童3人なら同5万8330円)が全国的に有名になったほか、▽北海道利尻町は、入所児童が第3子の場合、町営の保育所に入所すれば、保育料無料▽福岡県芦屋町は、民間賃貸住宅に住む新婚世帯に最長36か月(3年間)で最大72万円を補助▽石川県かほく市は、市内に一戸建て住宅を新築・購入する人に最大200万円の奨励金交付する――などがある。こうした支援策は移住を真剣に検討するきっかけにもなっている。

   ただ、専門家によれば、「自治体にとっては今、地方移住がブームみたいになっている側面がある。移住希望者は移住先の自治体をよく吟味した方がいい」という。単に居住者を増やすことだけを目指し、移住者をうまく組み込んだ街づくりの意識がなかったり、移住する時だけ高額な助成金を出すだけに終わったりしてしまう地域もあるという。

   地方移住は今後も増える可能性が高い。だが移住希望者はブームなどに流されず、末永く住む地として、慎重に移住先を見極める必要性がより強まっていると言えそうだ。

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