2024年 5月 4日 (土)

タカタの「元幹部起訴」は会見なし 「信頼回復にはトップが説明を」

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   タカタの欠陥エアバッグ問題は、元幹部3人が詐欺や共謀の罪で米国で起訴される事態に発展した。法人としてのタカタは、米司法省に和解金10億ドル(約1140億円)を支払うことで合意。捜査に区切りをつけ、再建を支援するスポンサー企業の選定を急ぐ。だが、組織ぐるみの悪質なデータ改ざんの実態も明らかになり、経営再建は容易ではない。

   「自らの利益のためにデータを改ざんしていた」。米司法省は、エアバッグの欠陥を知りつつ、自動車メーカーに?のデータを示して製品販売を続けていたタカタをこう断罪した。

  • タカタに対する不信感は根強い(画像はイメージ)
    タカタに対する不信感は根強い(画像はイメージ)
  • タカタに対する不信感は根強い(画像はイメージ)

元幹部3人は「既に退職」

   タカタの欠陥エアバッグは、作動した際に部品が破損して飛び散る恐れがあり、米国だけで11人が関連事故で死亡、約180人が負傷した。リコール(回収・無償修理)の対象は、米史上最大規模の約4200万台に上る。

   その不正の手口は悪質だ。2017年1月13日(現地時間)、元幹部3人の起訴を発表した米司法省の発表資料で、3人の生々しいやりとりが暴露されている。

   「XX」。3人はエアバッグのデータ改ざんをこの隠語で呼んでいた。2004~05年ごろのメールには「XXして下さい」とデータ改ざんを指示したり、「XXするしかなかった」と説明したりする場面がたびたび登場。3人のうち1人が「一緒に橋を渡るしかない」と不正を迫るやりとりもあった。幹部の指示のもと、タカタが組織的に納入先の自動車メーカーや消費者を欺き、危険なエアバッグを売っていた実態が浮かび上がる。

   タカタの高田重久会長兼社長は、米司法省の発表を受け「深く後悔しており、解決に向けた取り組みを続ける」とのコメントを発表した。しかし、タカタは元幹部3人が既に退職していることなどを理由に氏名や当時の役職は公表せず、記者会見も開かなかった。この問題で、タカタは一貫して積極的な情報開示をしておらず、「信頼回復に向けてトップ自ら説明すべきだ」(自動車メーカー幹部)と不信感も広がっている。

米当局による捜査の山場は越えたが...

   タカタがさっさと刑事責任を認め、事件の幕引きを急いだ背景には、協議中のスポンサー企業選びに弾みをつける狙いがある。捜査が継続し、和解金がどこまで膨らむか見通せない状況では、スポンサー企業による査定や支援決定もままならないからだ。高田会長兼社長は、米司法省との合意について「(スポンサー企業の)投資を得るために重要な節目。問題解決への大きな一歩だ」とし、協議進展への期待を隠さなかった。

   スポンサー企業はスウェーデンの自動車部品大手オートリブなどが有力視されており、タカタは3月末までには決めたいようだ。ただ、1兆円規模とされるリコール費用の負担割合をめぐる自動車メーカーとの協議は難航している。今回、タカタが刑事責任を認めたことで「協議は自動車メーカーに有利になる」(自動車業界関係者)との見方もあり、タカタの負担が膨らめば、経営再建の重しとなりそうだ。

   タカタは銀行などとの話し合いによる「私的整理」で再建を目指す考えだが、タカタに対する不信感が根強い中、裁判所の関与のもとで法的整理し、経営責任を明確化するとともに、債権債務を確定させる必要があるとの声も強まっている。米当局による捜査の山場は越えたが、再建までには今後も険しい道が続きそうだ。

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