2024年 5月 1日 (水)

「給付型奨学金」めぐる社説バトル 「さらに拡充を」VS「疑問」を連発

「ブラックバイトと分かっていても続けざるを得ない学生は多い」と指摘も

   これに対し、不十分との立場が朝日と毎日だ。朝日(12月21日)は「心もとない船出だ」と題し、「『貸与型』だけだった施策の大きな変更であり、意義深い」と、基本的に評価しつつ、「規模があまりに小さい。将来をになう若い人材をどこまで励まし、支えることにつながるのか、心もとない」と強調。具体的に、「住民税が課税されない低所得世帯から進学する若者だけで、推計で毎年6万人いるのに、その3分の1しかカバーできない」「金額も(略)授業料の減免や無利子の奨学金など他の制度も組み合わせて、何とかやっていけるレベルの額でしかない」などと指摘している。

   毎日も、成人の日に合わせた社説(2017年1月9日)の中で「奨学金の拡充を」との小見出しを取り、「生活費が足りず、ブラックバイトと分かっていても続けざるを得ない学生は多い」など過酷な実情にも触れ、新制度の額など「一歩前進ではあるが、まだまだ不十分だ」「とくにハンディを負うのは児童養護施設の人たちだ。(略)進学したくても諦めるケースは多い」などと触れ、格差の固定化を避ける必要を訴えている。

   一方、給付型の制度自体への懐疑的な見方が突出するのが産経。具体的制度が検討されていた16年10月25日時点の主張(社説に相当)で「本当に困っている学生に行き渡る制度改善となるのか疑問だ」「現行制度でも、卒業後の事情に応じて返済を猶予できる。経済的に困窮する世帯への助成策なら、学費減免など就学支援策がある」「優秀な学生が進学を諦めないようにするためなら、学費を免除する特待生制度などを大学ごとに工夫する方が有効ではないか」など疑問を連発。与党が制度創設に動き出した春にも、貸与型の返済負担が重いとの批判に反発し、「ローンを押しつけているかのように制度を非難し、返せない者が多いから『給付制を』というのでは本末転倒である」(4月18日主張)と断じていた。

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