2024年 4月 26日 (金)

財政健全化、2020年度達成は絶望的 それでも安倍政権が慌てない事情

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ゼロ金利政策の「効用」

   そのためには、いくつかの「ツール」の組み合わせが考えられる。

   まずはゼロ金利だ。前回試算では2017年度の長期金利を0.8%としていたが、9月の日銀の「長期金利ゼロ」政策による金利抑え込みを受けて、今回の試算では2017年度の長期金利を0%、その後も2018、2019年度の金利を低め修正している。これで国債の利払い費の軽減を通じて財政収支が大きく改善される。第一生命研究所のレポートによると、日銀の思惑通りに物価上昇率2%を早めに達成して長期金利が上がるより、物価目標が達成できずにゼロ金利が長期化する方が、財政収支が改善するという試算もある(2016年10月3日「0%長期金利で財政はどうなるか」)。

   もう一つがGDPのかさ上げだ。2016年7~9月期から、GDPを算出する国民経済計算(SNA)の基準変更で、「研究・開発投資」が設備投資に含まれるようになるのを柱とした改定がされた。これにより、GDPが年間約30兆円膨らんだ。分母であるGDPが大きくなれば、財政赤字のGDPに占める比率は低下する。今回の試算の「経済再生ケース」では、安倍内閣が唱える「2020年度GDP600兆円」が実現する前提だ。これによれば、今回の試算でも、現在、GDP比で約190%の国・地方の公債残高は、2020年度には180%に低下するとなっている。

   低金利とGDPのかさ上げで、GDP比の公債残高は低下が見込めることから、政府内や民間シンクタンクなどの間では、PBに加え、これを新たな財政再建の指標として重視しようとの声も根強い。

   ただ、こうした数字をいろいろいじっても、先進国で最悪の公債残高という現実が変わるわけではない。さらに、安倍首相周辺からは、一段の財政支出拡大論もくすぶっており、財政再建の道筋は一段と不透明感を増している。

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