WBC出場を辞退した大谷翔平の大リーグ行きプログラムは完全に崩れた。パ・リーグ開幕戦に間に合うかどうかも含め、先が見えなくなった...。栗山監督も「開幕戦はムリだろうな」大谷のWBC辞退が決まったのは2017年2月3日のことである。侍ジャパンの小久保監督と米アリゾナでキャンプ中の大谷が直接電話で話し合った結果だった。この辞退の最終決定まで周到な経過をたどったようだ。いきなり辞退となった場合の騒ぎは大変なものだったろうが、まず「投手として無理」と日本ハムが明らかにし、その後で「打者としても無理」とした。ワンクッション置くことで、ファンは「辞退だろうな」と予測していたから、最終決定は「やっぱり」となる。二刀流をうまく使い分けたと思われる。それだけ大谷の存在が大きかったといっていい。心配なのは右足首の状態である。投げるときも打つときも重要な部分で、思い切って練習できない。「(昨秋に痛めてから)状態が上がると思っていたがダメだった」大谷本人も、予想外に悪かった、と驚いているのではないか。春のキャンプでの調整遅れは公式戦に響く。日本ハムの栗山監督も意外な結果に困っている。「開幕戦(3月31日)は無理だろうな」試合にまともに出れるかどうかの事態今年の大谷には三つの目的があった。①WBC優勝②日本シリーズ連覇③大リーグ行きこれが全く怪しくなってしまった。二刀流どころか試合にまともに出場できるかどうか、という思いもしなかった状態なのである。「目標を失っている状況です」WBC辞退の後の大谷の言葉だが、現実をとらえていることが分かる。当然、今後の調整に変化が出る。つまりプログラムの組み直しである。公式戦出場を開幕1ヶ月後にするのか、7月のオールスター戦をめどにするか、などである。そして最大の関心は大リーグ行きである。昨年暮れの契約更改のとき、球団は大谷にそのオプションを与えた。完治した状態と故障の懸念では大リーグ球団の値踏みが異なる。球団に入るトレードマネーの額にも影響するはずである。大谷イコール札束、といった構図で、調整は様々な要素を考えながら行われるだろう。また大谷の侍ジャパン、WBCで経済効果を目論んだ関係者も、想像外の出来事に戸惑っている。大谷に代わる選手がいるかどうか。答えは明快である。(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)
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