孫社長、トランプ氏への公約「実現」 米ファンド買収の「したたかな戦略」

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   ソフトバンクグループが共同投資家と米国の大手投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループを約33億ドル(約3752億円)で買収すると発表した。ソフトバンクは昨2016年夏から積極的に海外投資を進めており、サウジアラビアの政府系ファンドなどと10兆円規模のファンドの設立も目指している。フォートレスの買収は、孫正義社長がトランプ米大統領に公約した米国への投資拡大を果たす格好で、そこには孫社長のしたたかな戦略がありそうだ。

   2017年2月15日に発表された今回のソフトバンクの買収について、フォートレスの経営陣は賛同を表明している。ソフトバンクは共同投資家とフォートレスを買収する方針で、総額約33億ドルのうち、どの程度を負担するのかは明らかになっていない。「ソフトバンクの投資額は限定的」との情報もある。

  • フォートレス・インベストメント・グループのHPより
    フォートレス・インベストメント・グループのHPより

フォートレス、日本国内のホテルにも投資

   日本国内でフォートレスはあまり知られていないが、米国では1998年の設立以降、ニューヨーク証券取引所に上場するなど、大手投資ファンドとして一定の知名度がある。とりわけ不動産分野に強く、2006年には日本にも現地法人を設立。東京ディズニーリゾート内にあるシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル(千葉県浦安市)やリーガロイヤルホテル京都(京都市)など、国内のホテルにも投資している。「日本で70棟以上のホテルを取得し、このうち30棟を改装するなどの実績がある」という。

   ソフトバンクは2016年7月、英国の半導体設計大手アームを約3.3兆円で買収すると発表し、9月に取得した。日本企業の海外買収案件としては過去最大で、アームの技術で、あらゆるものがインターネットでつながるIoT(モノのインターネット)社会の実現を目指す先行投資として注目された。

   10月には、サウジアラビアの政府系ファンドと共同で約1000億ドル(当時、約11兆円)規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(仮称)を設立すると発表。米IT大手アップルや米半導体大手クアルコム、台湾電子機器受託製造大手の鴻海(ホンハイ)精密工業が出資することが決まっている。

「彼らの投資プラットフォームから多くを学ぶことができる」

   孫正義社長はフォートレスの買収について、「幅広い専門知識と世界に誇れる彼らの投資プラットフォームから多くを学ぶことができる」と話しており、グローバルに展開する同社の投資ノウハウの取得が狙いとみられる。

   孫社長は同年12月、日本の経営者の先頭を切り、米大統領就任前のトランプ氏とニューヨークで会談。米国内への投資と雇用を拡大する考えを表明し、歓迎を受けた。今回の投資ファンドの買収も米政権に好印象を与え、買収した米携帯大手スプリントなど米国での事業を有利に進める戦略があるとみられる。米携帯4位のスプリントは赤字が続いており、3位のTモバイルUSとの合併観測が再浮上している。

   ロイター通信は、ソフトバンクグループがスプリントとTモバイルUSを合併させるため、スプリント株の一部をTモバイルUSの親会社ドイツテレコムに売却すると報道。ソフトバンクは否定しているが、米国の携帯電話市場でベライゾン・コミュニケーションズとAT&Tの2強に次ぐ第三極を目指す孫社長のしたたかな戦略が水面下で進んでいる可能性がある。

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