2024年 4月 20日 (土)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
財務省の「森友学園」答弁はおかしい 野党が追及すべき重要な論点

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そこまで官僚に裁量を与えていない

   また、国有地の売却では異例な契約になっている。そもそも、会計法では原則入札である。会計法では、緊急性があるものは随意契約でいいと書いている。そのほかに「政令」でも随意契約は可能である(会計法第29条の3)。

   今回の森友学園問題は、はじめから入札にしておけば問題はなかった。入札なら価格の妥当性も問題なく、価格公表も入札時に終わる。随意契約からスタートしているから、次々と問題が出てくる。

   財務省は随意契約にしたのも「法令に即して適切に処理」という。しかし、これも、国会で作った法律ではなく官僚が作った「政令」によるものだ。競争入札の例外になるものが幅広く列挙されている。これでは、競争入札原則が危うくなってしまう。

   財務省が自分たちが作った「政令」によるので適切に処理していると、立法府の国会で正々堂々と答弁し、それについて、野党から、そこまで官僚に裁量を与えていない、法律の範囲で事務をすべきという議論が出ないのだが、筆者には理解できない。

   こうしたことを背景として3月8日、テレビ朝日の「ワイド!スクランブル」に出演し、今の会計法の原則を説明し、財務省の国会答弁はおかしいので国会で追及すべきと発言した。ところが、その後、財務省からテレビ朝日に対して筆者の発言への抗議があったようだ。

   あくまで、財務省は自分たちが決めたことは正しいというスタンスなのだ。この際、「政令」により広範な権限を持っている財務省を、国会でしっかりチェックしたらいい。トランプ政権も、日本の政令に相当する大統領令でいろいろなことをやろうとすると、裁判所からのチェックが入る。三権分立の見本だ。財務省をチェックするために、とりあえず国会が国権最高機関としての役割を果たすべきだ。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「図解ピケティ入門」(あさ出版)、「これが世界と日本経済の真実だ」(悟空出版)など。


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