ブラジャーを長く着けると乳がんになるってホント?

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仮説「乳房の毒素の排泄をブラが妨げる」は間違い

   内容があまりに衝撃的だったことと、2人が研究者ではなく、調査方法も正規の研究手法を採っていないため、米国立がん研究所や米国がん学会など多くの学術団体がただちに「ブラジャーの着用と乳がん発症との関連は、科学的な証拠が示されていない。先住民と先進国女性の乳がん発症率の差は、食生活などの要因も考慮すべきだ」などと否定した。しかし、本の内容が「都市伝説」として世界中に広まっているのは確かだ。日本でも2011年5月15日放送のフジテレビ「ホンマでっか!? TV」の「1日12時間ブラジャー着用すると乳がんの確率25倍ってホント?」などで取り上げられた。

   こんな中、米フレッドハッチンソンがん研究センターのチームが、ブラジャーと乳がんの関連を完全に否定する本格的な研究結果を米医学誌「Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention」(電子版)の2014年9月5日号に報告した。

   同誌の論文要旨によると、研究チームは55~74歳の閉経後の女性1513人(乳がん患者1044人、乳がんなし469人)を対象に、特にブラジャーと乳がんの発症の関連について、次の項目を入念に調査した。閉経後の女性を選んだのは、最も乳がんになりやすい年代だからだ。また、乳がん患者も、多くの乳がんの中でも最も一般的な2つのタイプを選んだ。

(1)1日にブラジャーを着用する時間
(2)1週間にブラジャーを着用する日数
(3)ブラジャーのアンダーワイヤーの有無
(4)ブラジャーのカップサイズ
(5)アンダーバストサイズ
(6)ブラジャーを着け始めた年齢
(7)人生でのブラジャーの着用パターンの変化

   その結果、ブラジャー着用のすべての項目で乳がんの発症との関連はみられなかった。研究チームのリュー・チェン教授は、論文要旨の中でこう語っている。

「開発途上国と先進国との間で、乳がんの発症率が違うことの理由の1つに、ブラジャーの着用パターンの違いがあると心配されています。どのようにブラジャーを着たらいいか、女性にとっては深刻な問題です。乳房の中の老廃物の排泄がブラジャーによって妨げられるという仮説があることは確かです。そこで我々は、ブラジャーが乳がんを引き起こすかもしれないあらゆる可能性を精査しました。その結果、関連がないことを証明しました。多くの女性に安心感を提供できる研究だと思っています」
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