声優としても活躍し、高い評価を受けている歌手のGACKTさんが声優について、アーティストや俳優が声優をやるのはそもそも無理がある、とインタビューで語った。この発言は少し前なら大絶賛されたはずなのだが、アニメファンの感情は複雑だ。「君の名は。」などのアニメ映画では俳優が主演し上手だと讃えられた。そして今の若手声優はコンサートを開き写真集を出すなどアイドル化し、本業の声優業は「劣化」していると囁かれているからだ。「声優でも下手な奴いない?特に最近の声優」GACKTさんが2017年3月21日配信のネットニュース「アニメイトタイムズ」で、「アーティストが声優をやるっていうのは、あまり聞かない。そもそも無理がある」「役者が声優をやることはあるけど、彼らは表情や動きのあるお芝居の延長で発声をやるから、本職の声優たちと違って声があまり立たない」と語ったことが注目を集めている。GACKTさんのアニメ、マンガ、ゲーム好きは有名で、芸能界を目指していた時から声優になれる道を探し努力してきた、という。2007年頃から映画の吹替え、アニメ、ゲームで声優をやるようになり、現在放送中のアニメ「TRICKSTER」では怪人二十面相役を、17年3月25日に公開されるアメリカ映画「キングコング:髑髏島の巨神」では主役のジェームズ・コンラッドの吹替えをしている。アーティストである自分に声優の仕事が回って来るのはこれまでの積み重ねがあるからで、客寄せパンダ的な起用だったのなら一作で終わっていた、とも打ち明けた。アニメファン、声優ファンにとって、アニメや映画の吹替えに人気アイドルや若手俳優が起用される事は悩みの種でもあり、決まって批判の対象になってきた。本職と比べヘタクソだとか、作品の世界観が壊れると感じる人が多いため、キャストが発表されただけでブーイングが起きた。アニメ大好きのGACKTさんも同じ気持ちだったとも思われる。このGACKTさんの発言に対しては、「GACKTさんの声優リスペクトすごい」「売れてる俳優・女優・歌手を売れてるだけで声優として使わないであげてほしい」など、賛同する声がツイッターに出たものの、大絶賛にはならなかった。それよりも、「声優でも下手な奴いない?特に最近の声優・・なんか同じ調子の奴ばっかじゃない?」「最近は俳優が声優やってがっかりするのと、声優が声優やってがっかりする比率が大して変わらない」「上手い俳優や芸人やアーティストだって居るので、全部一括りにしても仕方ない」といった意見も多くみられる。声優がアイドルの真似事をするなと言いたかったのでは声優といえば、ここ数年急速にアイドル化が進み、自分名義の音楽CDや、イメージビデオ、写真集の発売があり、イベントでは東京ドームなど巨大会場を満員にするといったマーケットが形成されている。いわゆる「声優ビジネス」の花盛り状態だ。そんな中、ファンの間で危惧されてきたのが、若手声優たちの実力の劣化だった。声優個人の人気が高いため、ファンは「本業」の声優としての実績に目をつぶって応援している状態だったが、ある記事がその雰囲気を一変させることになった。音楽サイト「otoCoto」が2016年8月17日に配信した声優の大御所、野沢雅子さんと平野文さんの対談だ。ここで二人は若手声優の演技について語り、まず個性が無いとし、それは演技がしたくて声優になったのではなく、アニメに憧れて声優を目指したからだと指摘した。「アニメを見て、アニメのマネをして声優になっていくので、コピーのコピーのコピーみたいな感じになっていくんですよね」と平野さんは語った。これが話題になりファンに衝撃を与え、目を覚まさせる事になった。そして時を同じくして公開された映画「君の名は。」では、主演を俳優の神木隆之介さん、上白石萌音さんが演じ、また、長澤まさみさんも重要な役で出てこの3人の声優としての演技がアニオタからも評価された。「この世界の片隅に」では、のんさんの演技も評判になった。そうしたことから、「もう俳優に声優をやらせたほうがいい」といった意見が多数出るようになった。アニオタの流れは今や声優至上主義から、「上手ければいい」「役に合っていればいい」に変化しつつある。こうしたことから、GACKTさんの発言が今一つ盛り上がりに欠けることになったようだが、実はGACKTさんならば当然こうした声優ファンの流れは知っているはずだ、とし、「声優がアイドルの真似事やるのもどうなんだろうな、って問いかけの気もする」と、声優なのだから本業に集中しなければ仕事がなくなる、というGACKTさんからの警告だと感じている声優ファンもいる。
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