2024年 4月 20日 (土)

官製春闘の不振に各紙は「辛口」 読売新聞ですら...

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   2017年春闘は3月中旬で峠を越したが、「息切れ」との評価が多い。従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)と定期昇給を含めた賃上げ幅が前年実績を下回るケースが続出しているからだ。賃金の伸びをテコに消費拡大で経済を活性化させようと安倍晋三首相自ら企業に賃上げを求める「官製春闘」は4年目を迎え、失速感がはっきりしてきた。

   春闘の集中回答日となった3月15日、自動車や電機など大手メーカーの経営側が労働組合の賃上げ要求に一斉に答えた。春闘相場のけん引役として最も注目されたのが大手自動車。各社の労組は前年と同じベア月額3000円を要求していたが、トヨタ自動車が前年実績より200円低い1300円と、2年連続で前年を割り、官製春闘でベアが復活した2014年以降で最低額になった。前年はベア満額回答をした日産自動車も、今回は前年の半額の1500円。一方、ホンダは前年より500円多い1600円と、社によりバラツキが出たが、全体には低調だった。

  • 春闘全般が低調(画像はイメージ)
    春闘全般が低調(画像はイメージ)
  • 春闘全般が低調(画像はイメージ)

大手と中小の格差縮小の動きも減速

   自動車業界は、2016年前半の円高の影響などで、トヨタが2017年3月期に大幅な連結営業減益を見込むなど、多くが厳しい業績見通しを示している。米トランプ政権による北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉表明、日本メーカーへの米国内生産「強要」、日本の自動車市場の「閉鎖性」批判など保護主義的な動きが、賃上げにブレーキとして働いた。

   電機も、日立製作所、パナソニック、三菱電機、NEC、富士通がそろって前年実績を500円下回る1000円と冴えなかった。

   経営側は、退職金などにもつながり、将来にわたって負担が増えるベアには慎重な一方、政府の圧力もあって、一時金(ボーナス)ではある程度要求にこたえた。ただし、トヨタが組合要求に「満額回答」だったものの、前年実績と比べると0.8か月分減の6.3か月(年間)と低水準。日立は5.71か月と同0.02か月分の微増にとどまった。

   全体として前年を下回る回答が多く、連合が3月24日にまとめた中間集計は、23日朝までに回答があった1243組合の平均で、ベアと定昇を合わせて賃上げ額は6224円、賃上げ率は2.05%で、前年に比べ、それぞれ111円、0.05ポイント落ちた。組合員300人未満の中小657組合に限ると、それぞれ5052円(前年比143円減)、2.00%(同0.07ポイント減)と、より厳しい結果で、大手と中小の格差縮小の動きも減速した形だ。

   安倍首相は、賃上げから消費拡大へという「経済の好循環」を狙って「少なくとも昨年並みの賃上げ」を求めていただけに、「欲を言えばもう少し力強い賃上げを望みたかった」(16日の日本商工会議所通常総会あいさつ)と、不満も口にした。

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