2024年 4月 16日 (火)

「終活」では自らの火葬の手配も 首都圏では1週間待ち珍しくない

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   高齢化社会といわれるようになって久しいが、この10年間でも年を追うごとに「死亡者数」が増えている。それとともにクローズアップされているのが火葬場の不足だ。

   とくに1年のうちで12月~3月は亡くなる人が多く、首都圏では火葬待ちに1週間~10日間ということも珍しくない

  • 遺族の火葬時間の希望は昼ごろから午後の早いうちが多く集中してしまい、順番で待たされることになってしまう(写真はイメージ)
    遺族の火葬時間の希望は昼ごろから午後の早いうちが多く集中してしまい、順番で待たされることになってしまう(写真はイメージ)
  • 遺族の火葬時間の希望は昼ごろから午後の早いうちが多く集中してしまい、順番で待たされることになってしまう(写真はイメージ)

会葬後の昼~午後の時間帯が「混雑」

   東京都内に住む会社員Aさんの母親は80代ながら健康面で何も問題はなかったが、17年1月下旬に入浴中に急死した。葬儀会社とその後のことを相談した結果、葬儀は火葬場の予約がとれた1週間後に行われることになった。

   埼玉県内の自営業Bさんの母親は3月半ばに病死。古くからの知り合いである葬儀会社の経営者が火葬の手配に手を尽くしてくれたが、式場などでの会葬後の昼~午後の時間帯では1週間ほど後になるという。だが、午前中ならば3日後に可能というので、「送る会」を後日に催すことにして、近親者だけが集まり荼毘に付した。

   こうした例は、この数年、東京都内や周囲の県で繰り返されているという。12年12月にNHKの「クローズアップ現代」(現・「クローズアップ現代+」)は「お葬式がだせない どうする"葬送の場"」というタイトルでオンエア。その約1年後の14年1月、NHKが今度は「ニュースウォッチ9」で「火葬を待たされる遺族 加速する"多死社会"1週間待ちの自治体も」という特集を放送した。

増える死亡者、稼働終える火葬場

   厚生労働省の人口動態統計によると、11年の死亡者数は約125万3000人で、その10年前に比べ30万人増えた。その後も毎年増え続け、15年約129万人、16年は129万6000人と推定されている。

   その一方、同省統計の衛生行政報告例(平成26年=14年=度)の「墓地・火葬場・納骨堂数,経営主体別」データによると、同年度末の全国の火葬場数は4308か所あるが、このうち、過去1年以内に稼働実績があるのは1453か所にとどまる。しかも、火葬場が午前中から稼働していても、遺族の火葬時間の希望は、葬儀・告別式のとの兼ね合いから昼ごろから午後の早いうちが多く、待たされることになってしまう。

   こうした火葬場の実情があるのに3000近くの施設が稼働していないのはどうしてなのだろうか。葬祭業者などによると、設備そのものの老朽化や時代に合った環境面での設備を整えられず使われなくなったという。

   とくに首都圏では火葬場の近くに住宅街もあり、稼働にともなう排煙や騒音などが周囲に影響を及ぼさないよう万全を期している。また、葬式のイメージが強すぎ周辺住民の感情に影響があるとして、かつては葬送の定番だった宮型の霊柩車の乗り入れが規制され、条例で火葬場への乗り入れを禁止している自治体もある。

   火葬場不足に対応して、全国各地では自治体が単独で、あるいは共同で新設を計画しているが、それが環境面などに十二分に配慮されたものでも、迷惑施設とみられて住民による反対に遭っている。

   葬儀関連のほか相続など、いわゆる「終活」情報を扱う出版社、鎌倉新書(東京都中央区)が運営するウェブサイト「いい葬儀マガジン」は、16年7月1日付の記事で「火葬をスムーズに行ってもらうためポイント」として「葬儀を行う場所やプランを生前から決めておくという方法がある」とアドバイス。また「火葬時間のピークである昼の時間帯を避け、少し早めたり、遅くしたりすると、スムーズに火葬を行ってもらえる可能性が高くなる」と、時間差を選択肢にあげている。

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