2024年 4月 25日 (木)

ほどほどの酒ならやっぱり長生き!? ビッグデータで「健康論争」に決着

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   「酒は百薬の長」といわれ、よく医者も「適度の酒ならストレスを解消し体にもいいですよ」と太鼓判を押す。ところが最近、「適度な酒でも体によくない」と、真っ向から否定する研究が発表され、左党をガッカリさせていた。

   そこへまた「いやいや、ほどほどの酒ならやっぱり健康にいいよ~」という研究が登場した。約200万人規模のビッグデータがもとの最終結論的な発表だ。「ひゃあ~」と嬉しがったアナタ、酒をススませては元も子もないという。

  • ほどほどに飲むことが大切
    ほどほどに飲むことが大切
  • ほどほどに飲むことが大切

「酒は百薬の長」は統計ミスによる幻だった?

   酒と健康については、「適度の酒なら、まったく飲まない人より長生きする」とする研究が多くある。代表的なものが1993年に米国保健科学協議会が各国の諸研究を集約した「Jカーブ効果」説だ。「適量の酒を飲む人の全死亡率は、まったく飲まない人、また飲み過ぎる人に比べると最も低い」というもので、全世界共通の傾向という。縦軸に死亡率、横軸に酒量を記したグラフで、「適量の酒」の死亡率が底になるカーブが「J」の字になることから名づけられた。

   この「定説」をひっくり返したのが、豪州国立薬物研究所のターニャ・クリスティー博士らが2016年3月、国際アルコール研究誌「JSAD」に発表した研究だ。クリスティー博士は、酒と健康に関する過去の論文計87件を分析した結果、「重大かつ基本的な誤り」に気づいた。「過去の論文の多くが、病気が原因で禁酒している人々を考慮の対象から除外している」というのだ。

   博士によると、酒を飲まない人の中には「糖尿病や心臓病などで医師から禁酒させられている人」「その他、体が弱くて酒を飲めない(あるいは飲まない)人」がいる。こうした人々は早死にするリスクが高いのに、「非飲酒者」の中にひとくくりにされ、「酒を飲む人」と死亡リスクを比較する際、統計に反映されなかった。そこで、「病気などによる禁酒」を考慮しない論文を除外し、残りの論文を分析し直すと、「適度の酒が健康的で長寿をもたらす」という結果は得られなかった。左党を喜ばせてきた「定説」は、「統計ミスによる幻」だったというわけだ。

健康の適量は1週間に缶ビール12本くらい

   さて、ひっくり返った「定説」をよみがえらせたのが、ケンブリッジ大学とロンドン大学の合同研究チーム。英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」(電子版)の2017年3月23日号に発表した論文によると、研究チームは、英国保健省が持つ30歳以上の193万7360人の健康調査の電子データを研究対象にした。かつてない規模のビッグデータである。しかも、対象者は全員、糖尿病や脳・心臓病などがない「健康な人」を選んだ。最初から「病気による禁酒」や「体が弱くて酒を飲まない(飲めない)人」を除外した。

   英国では保健省が「適度なアルコール摂取のガイドライン」を定めている。健康を守るための1日の摂取量の目安だ。ガイドラインでは、「男性は1週間のアルコール摂取量を21ユニット(1ユニットは10グラム分のアルコール量)、女性は14ユニット以内」を推奨している(編集部注:2016年1月からの新ガイドラインでは、男女とも1週間に14ユニット以内になったが、研究時点では旧ガイドラインを使った)。

   21ユニットとはどのくらいの酒量だろうか。350ミリリットルの缶ビールなら約12本、175ミリリットルのグラスワインなら約9杯、ウィスキーなら700ミリリットルのボトル1本弱、焼酎なら900ミリリットルのボトル1本弱、日本酒ならカップ酒8杯程度が21ユニットとなり、1週間分の目安だ

   研究チームは、「1週間に男性は21ユニット、女性は14ユニット飲む人」を「適度な酒量の人」に設定した。それ以上、飲む人を「過度の酒量の人」とし、「酒を飲まない人」と分け、12種類の心血管疾患の発症リスクを6年間追跡調査した。調査期間中に全体の5%の約9万7000人が心血管疾患を発症した。年齢や喫煙習慣、血圧、肥満指数などの要因を考慮し分析した結果、「適度の酒量の人」は「酒を飲まない人」や「過度の酒量の人」に比べ、全体的に心血管疾患にかかるリスクが低いことを確認した。「酒を飲まない人」に比べどれだけ低いか、主な病気ごとに記すと――。

   (1)心臓発作=32%減、(2)心臓病全般による予期せぬ死=56%減、(3)不安定性狭心症=33%減、(4)安定性狭心症=15%減、(5)脳卒中=12%減、(6)末梢動脈疾患=22%減、(7)腹部大動脈瘤(りゅう)=32%減、(8)全死亡リスク=24%減。

研究者「適度な飲酒より、適度な運動を勧めます」

   一方、脳内出血や脳梗塞は差がなかった。また、「過度の酒量の人」は「適度の酒量の人」に比べ、あらゆる心臓病や脳卒中になるリスクが11~50%も高かった。やはり飲みすぎは危険なのだ。

   今回の研究に関し、研究者は論文の中でこう注意を呼びかけている。

「私たちの研究は、観察研究であり、結論を導き出すものではなく、決して飲酒を勧めるものではありません。過度の飲酒者は、心不全、心停止、脳卒中のリスクが高いことが明らかになりました。心臓病のリスクを減らすには、飲酒よりももっと安全で効果的な方法、つまり適度な運動を始めるべきだと考えます」
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