サッポロは「泣き寝入り」せず 「当局の不興」承知で提訴したワケ

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   サッポロビールの「極ZERO」は第三のビールか、否かをめぐって国税当局と対立していた問題で、サッポロが自主納付した酒税115億円の返還を求め、国を相手取って東京地裁に提訴する異例の事態に発展した。

   サッポロは2013年、第三のビールとして極ZEROを発売した。生活習慣病の原因となる糖質とプリン体をゼロに抑えた初の第三のビールとして脚光を浴びた。

  • サッポロは「泣き寝入りせず」(画像はイメージ)
    サッポロは「泣き寝入りせず」(画像はイメージ)

「極ZERO」は第三のビールか、否か

   これについて2014年1月、国税庁から極ZEROの製法照会がきて、事態は暗転する。第三のビールには該当しない可能性があるというのが国税の見立てだ。サッポロは同年6月、極ZEROの販売終了を発表。税率の適用区分が変更された場合に必要になる酒税115億円を自ら納付し、2014年12月期決算で特別損失に計上した。

   その後、検証の結果、第三のビールであることが確認できたとして、2015年1月に115億円の返還を国税当局へ要求したが4月、返還には応じないとの通知を受け、国税不服審判所に審査請求するも、2016年10月に棄却された。

   サッポロは、そのまま「泣き寝入り」するか、徹底抗戦するか、慎重に検討してきたが、後者を選択。裁判でシロクロをつけることを決断した。

   こんな事態を生んだ原因は、ビール類の複雑な税制だ。麦芽比率などに応じて、1缶(350ミリリットル)あたりの税額が、ビール77円、発泡酒は46.99円、第三のビールは28円。ビールの77円は国際的にみて最も高水準であるため、ビール各社は少しでも製品価格を安くしようと、発泡酒や第三のビールの開発にしのぎを削ってきたが、国税当局には一種の「税逃れ」と映り、不快感を隠さなかった。これが、今回の紛争の背景だ。

勝算について見方は分かれる

   サッポロが国税当局の不興を買うのを承知で提訴に踏み切った理由は、判然としない。「ここで返還を断念すれば、株主に説明がつかない」との判断があったとの見方が一般的だ。確かに、サッポロビールを傘下に収めるサッポロHDの収益構造は、営業利益202億円(2016年12月期)を、国内酒類と不動産業がほぼ半々で稼ぎ出す。115億円という数字は酒類1年分の稼ぎに相当し、なんとしても取り戻したいと考えるのが自然だろう。

   ただ、勝算については、業界関係者らの間でも、「勝敗は二の次の株主向けポーズ」「勝てるとの相当の自信があるのだろう」など、見方は分かれる。

   今回の提訴に、ネット上では、「貧乏消費者の為にメーカーが必死で開発した安ビールもどきが ビールより売れてきちゃうとあーだこーだ因縁つけて税金ぶっかけてくるんだもんな」など国税批判の一方、「各社、税逃れのビールもどき飲料の開発競争には目に余るものがありました」といった業界への苦言も。なかには「国が負けたら国民に転嫁、企業が負けたらビールに転嫁。 どっちに転んでも(国民が)罰被るな」といった冷めた声もある。

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