2024年 4月 29日 (月)

フランス大統領にマクロン しかし、これで安心するのは甘すぎる

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マクロンの持ち時間は5年

   他方、マクロンは勝ち組の代表である。ご同輩の多いパリでは決選投票で90%を得票している。両者を拒む左派の労働組合は、決選の顔合わせを「ペストかコレラの選択」として棄権を勧めた。マクロン勝利の速報にマーケットは安堵し、ユーロは対ドルで6カ月ぶりの高値をつけたが、ルペンを台頭させた経済・社会的な要因は、マクロン政権の課題としてそのまま残る。

   当面の焦点は、6月の国民議会(下院)選で、無党派として大統領になったマクロンが政権基盤を固められるかどうかだ。そのうえで、国内的には若者の雇用を改善できるか、対外的にはドイツと組んでEU改革を進められるかどうか。とりわけ、肥大したEUの官僚機構や意思決定システムに切り込めるかどうかが問われよう。マクロンの持ち時間は次の大統領選までの5年間。はかばかしい成果が出なければ、ルペン当選のハードルがさらに低くなるだろう。

   マクロンは一途な男として知られる。高校時代に演劇部の顧問を務めた25歳上の先生と結婚し、いきなり3児の父になったエピソードは日本のワイドショーでも取り上げられた。フランス史上最年少のリーダーは決断の人でもある。今回勝負に出てくれたことで、英国のEU離脱、トランプ米大統領と続いた内向きの連鎖をフランスがひとまず止める形となった。とはいえ、危機はそこにあり続ける。勝利のシャンパンに酔っている暇はないのである。             (ジャーナリスト 小路 明)

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