伊藤忠社長の岡藤節が炸裂 「物産・住商」は眼中になし!?

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   三菱商事、首位返り咲き――。2017年5月上旬に一斉に発表された大手総合商社の17年3月期決算を報じる新聞各紙に、同じような見出しが躍った。資源価格の底入れを受けて、16年3月期に純利益トップの座を奪った伊藤忠商事は、ひとまず「1年天下」に終わった形だ。

   伊藤忠の岡藤正広社長は、決算発表の記者会見の席上、「2位」の感想を問われ、「3年の合計で順位を見てほしい。3か年で見ればまだ商社首位や」と、『岡藤節』でアピールした。

  • (画像は伊藤忠商事ホームページより)
    (画像は伊藤忠商事ホームページより)

「『商社2強時代』にふさわしい利益水準」

   実際、三菱商事に抜かれたとはいえ、2017年3月期は好決算だった。純利益は前期比47%増の3522億円と過去最高。非資源の中でも得意とする食料事業で、青果物事業「ドール」の収益がV字回復したほか、流通子会社の日本アクセスやファミリーマート事業も収益アップに貢献した。18年3月期の連結純利益目標も過去最高の4000億円を予想しており、岡藤社長は「資源価格高騰などの特殊要因を除けば、4000億円は(三菱商事との)『商社2強時代』にふさわしい利益水準」と豪語した。

   伊藤忠と言えば、もともとは「業界4位」が定位置だった。それを現在の地位まで引き上げたのは、2010年に社長に就任した岡藤氏の功績が大きい。当時の伊藤忠は、財務体質の改善を進める「守り」の経営だったが、岡藤社長は就任後、「攻め」の経営に舵を切った。社内目標としてまず打ち出したのが、すぐ上の業界3位にいた住友商事を純利益で上回ること。それを12年3月期に実現し3位に浮上すると、次に打ち出したのが「非資源ナンバーワン」というスローガンだった。

   資源は市況が上がれば収益も急激に上がるが、市況が下がれば収益を圧迫するうえ、継続的な開発投資が欠かせない。「資源投資は『麻薬』のようなもんや」が岡藤社長の口癖だ。三菱商事や三井物産が資源ブームに乗って石油や天然ガスへの投資を重ねる中、伊藤忠は不採算の資源事業を縮小、繊維や食料などの非資源事業を強化に動いた。

最大の課題は「ポスト岡藤」

   こうした改革で、ライバルが資源価格下落の影響で2015年3月期~16年3月期にかけて続々と巨額の減損損失を出し、最終赤字に転落するなか、損失を最小限に抑えることができた。16年3月期の純利益で初めて首位に立った際の決算発表会見で、岡藤社長は「ライバルが土俵から降りたから、不戦勝や」と総括した。

   そのライバルたちは、資源価格の底入れとともに息を吹き返した。三菱だけでなく、資源事業の割合が大きい三井物産が伊藤忠の背中を追う。その中で、岡藤社長が語るとおり、伊藤忠は成長を続け、「商社2強時代」の一角を担い続けられるのだろうか。

   最大の課題は「ポスト岡藤」という見方が、業界でも多い。岡藤社長は就任から8年目に入り、「いよいよ今期(2018年3月期)限りではないか」とささやかれている。独特のカリスマ性と「有言実行力」で成長軌道に乗せた岡藤氏。次の成長ステージに向け、後を継ぐ次期社長の経営手腕が大きな焦点になりそうだ。

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