2024年 5月 5日 (日)

動かないドル円相場に嫌気 いまFX投資家が狙う、あの通貨

豪ドル高に拍車? FOMCの「あいまい」判断

   そうした中での米FOMCの利上げ見送りの発表だ。FOMCは、短期金利の指標で、銀行間で資金を貸し借りする際に使われるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を、年1~1.25%に据え置いた。

   FOMC後の声明によると、約4兆5000億ドル(約500兆円)まで膨らんだ保有資産の縮小を「比較的早期に始める」と明記。6月の前回会合では「年内に着手する」としていたが、今回はさらに一歩踏み込んだ。

   その一方、インフレの現況判断では、物価上昇率が前年比でエネルギー・食品を除くコア指数でも鈍化していることを指摘。物価の伸び悩みを強調した。これが実質的な物価見通しの下方修正と受けとめられた。

   前出の外為どっとコム総研の神田卓也部長は、「ドル売りを招いたのは、ここの判断ですね。物価見通しは後退したのに利上げの方針は変えないという、はっきりしない判断で、警戒感だけが強まりました」とみている。

   そんなことだから、FX投資家の目も米ドルから離れつつある。神田部長は、「今回のFOMCは思わぬところに影響が出ていた」と指摘。それがオーストラリアドル(豪ドル)だ。「最近は米ドル円相場の動きが鈍いこともあって、(FX投資家にとっては)あまり妙味がありません。そこで、豪ドルやユーロに関心が移っているというわけです」と説明する。

   米ドルとともに、円も日本銀行による金融緩和策が長期化することで売られやすい状況にある。そのため、豪ドルやユーロが買われやすくなっているというのだ。

   たとえば、7月26日のFOMCを受けて豪ドル/米ドルは、2015年5月以来の1豪ドル0.80米ドル台を付ける水準まで、豪ドル高が進んだ。一方、豪ドル円も円安/豪ドル高の様相で、7月27日には1豪ドル88円後半~89円前半で推移している。

   円が売られ、豪ドルが買われる展開で、神田部長は「豪中央銀行が豪ドル高をけん制したにもかかわらず、なお高値を更新する勢いがあります。FOMCが豪ドル高を後押ししているような状況です」と、話している。

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