2018年 11月 21日 (水)

東芝、ギリギリの攻防 「上場廃止」めぐる「情報戦」

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   東芝の2017年3月期の有価証券報告書の提出期限が8月10日に迫っている。東芝と監査を担当する監査法人PwCあらたとの間では、「不適正意見」と「限定付き適正意見」のいずれにするかで、ぎりぎりの調整が続いている。万一、「不適正」に転べば上場廃止は免れないだけに、東芝は巻き返しを図るが、事態は予断を許さない。

   「PwCあらたがついに不適正を出すと金融庁に報告したらしい」。8月上旬、銀行関係者の間にこんな噂が飛び交った。だが、その直後には、「限定付き適正意見を出す方向のようだ」という情報も。限定付きであっても何とか適正意見を得たい東芝、甘い監査で将来的な責任を負いたくないPwCあらた、上場廃止の引き金は引きたくない金融庁や東京証券取引所と、関係者の間で異なる思惑を背景に、さまざまな情報戦が繰り広げられている。

  • 東芝を巡る問題はどういう結末を迎えるのか(画像はイメージです)
    東芝を巡る問題はどういう結末を迎えるのか(画像はイメージです)

損失をいつ認識したのか

   そもそも、東芝と監査法人との間の争点は何か。東芝の米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)による米原発建設の遅延に伴う損失をめぐる問題について、東芝が損失をいつ認識したのかという点だ。

   関係者によると、東芝はその時期について、「WHから2016年12月に損失の存在について報告を受けて初めて認識した」と主張しているのに対し、PwCあらたは「2015年度中には損失を認識していた可能性がある」として、「2016年3月期決算で計上すべき損失が計上されていない可能性がある」と主張している。

   PwCあらたの主張に沿えば、2016年3月期にさかのぼって決算を下方修正する必要が出る。そうなれば2017年3月期にも影響するため、PwCあらたは同期の有報について「不適正」を検討しているのだ。だが、東芝は「損失を隠している事実はなく、既に2017年3月期に必要な損失は計上している」と強く反発。東芝側は最近になって、各メディアに対して監査の問題を記事化するよう働きかけるなど、手段を選ばず攻勢に出ている。

東芝、監査法人、金融庁...それぞれに思惑

   もし8月10日までに東芝が提出する有報の監査意見が「不適正」であれば、秋にも予定される東証審査で、東芝株が「上場廃止」と決められる可能性が極めて高くなり、東芝の再建の目算は大きく狂う。東証の立場に立てば、上場廃止の引き金は自ら引きたくはないが、「不適正なら上場廃止以外の結果は出しようがない」(金融庁幹部)。逆に、もう一方の「限定付き適正意見」であれば、「あえて上場廃止の引き金を引く必要がなくなる」(同)。

   不適正イコール上場廃止となるわけではないが、実際には上場廃止が濃厚になった時点で信用不安を招き、取引先離れが起きるのは間違いない。ドミノ的に取引先や金融機関が離れ、東芝はとたんに資金繰りに窮することになる。それは関係者の誰も望まないシナリオだ。

   こうした事態を受け、PwCあらたには、監査法人を監督する金融庁からも横やりが入っているという。もし不適正が出るようなら、「合理的な理由がない」と東芝は提訴に踏み切るだろう。そして、今度は一転、PwCあらたの監査法人の説明責任を問う声が高まるのは必至だ。綱引きの行方はどうなるのか。難しい決断まであと数日だ。

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