2024年 5月 6日 (月)

岡田光世「 トランプのアメリカ」で暮らす人たち 再燃する「南北戦争」の対立と憎悪

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「ハイル、トランプ!」

   KKKの元リーダー、デービッド・ドューク氏が、「トランプを大統領にしたのは我々だ。左翼ではない」と訴えたように、極右勢力の中にはトランプ支持者も多い。集会では、「ハイル、トランプ!(Heil, Trump!)」と叫ぶ人たちもいた。

   バージニア州のマコーリフ州知事は、「今日、シャーロッツビルにやってきた白人至上主義者とナチスにメッセージがある」、「帰れ。恥を知れ。お前たちは愛国者づらしているが、とんでもない」、「2度と戻ってくるな。お前たちの憎悪と偏狭な信念とともに出ていけ」と激しく糾弾した。

   像の撤去に反対する地元の女性は、「像は芸術作品としても価値があるし、歴史は歴史として残したい。でも、今回のような人種差別的で暴力的な集会は許せない」と怒りをあらわにする。

   同時多発テロ事件が起きた9月11日に、テキサス州の大学で「White Lives Matter」(白人の命も大切だ)とうたう集会を企画していたが、会場となるはずの大学が、今回の惨事を受け、キャンセルを発表した。

   「Black Lives Matter」――。人種偏見によって黒人は虫けらのように殺されてきたが、「黒人の命も大切だ」という警察暴力への抵抗を表すスローガンをもじったものだ。

   「黒人の人権は声高に叫ぶのに、白人が同じことをしてなぜ悪い」と白人至上主義者らは主張する。しかし、ナチス式敬礼をしながら「ホワイト・パワー」と叫ぶのは、果たして言論や表現の自由として守られるべきなのか。

   南軍の将軍や兵士の像の撤去は、2015年の黒人教会での射殺事件を機に、全米各地で進められてきた。ノースカロライナ州ダーラムでは14日、バージニア州シャーロッツビルの事件を受けて、白人至上主義に反対する人たちが南軍兵士像にロープをかけて引き倒す事件が起きた。像が倒れると、大歓声がわき起こり、像を蹴りつけたり、つばを吐きかけたりした。

   バージニア州の事件が新たな衝突の火種にならないことを、多くの人が望んでいる。

   (随時掲載)


++ 岡田光世プロフィール
岡田光世(おかだ みつよ) 作家・エッセイスト
東京都出身。青山学院大卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。日本の大手新聞社のアメリカ現地紙記者を経て、日本と米国を行き来しながら、米国市民の日常と哀歓を描いている。文春文庫のエッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズは2007年の第1弾から累計35万部を超え、2016年12月にシリーズ第7弾となる「ニューヨークの魔法の約束」を出版した。著書はほかに「アメリカの 家族」「ニューヨーク日本人教育事情」(ともに岩波新書)などがある。


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