福岡県でHIV感染者とエイズ患者急増 原因不明も今後の検査件数増が肝心

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   福岡県で、2016年の新規HIV(エイズウイルス)感染者、エイズ患者の数がともに46人、合計92人となり、前年の57人を大幅に上回った。

   近年、全国的にはHIV感染者とエイズ患者の数は横ばいとなっているが、福岡県では増加傾向にある。

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HIVウイルス感染を知らないまま発症

   福岡県のウェブサイトで2017年9月25日に更新された「エイズ/HIV対策について」のページに、詳しい資料が掲載されている。2007年~16年のデータを見ると、全国の新規HIV感染者とエイズ患者の総数は、最小が15年の1434人、最多が13年の1590人で、年ごとに若干の増減はあるものの大きな変化は起きていない。なお16年は1442人で、15年に次いで少なかった。HIV感染者とエイズ患者を別々に見ても、やはり過去10年間でいずれも横ばいといってよい。

   これに対して福岡県では、2007年の総数が36件だったのに対して16年は92人と2.6倍増だ。16年は突出して多いが、過去10年で見ても15年を除いて右肩上がりで増えてきた。なぜ福岡が全国とは異なる動きをしているのか、現時点では明確な理由は明らかになっていない。

   特筆すべきは、エイズ患者の割合の多さだ。全国でみると例年、HIV感染者の半数程度だが、福岡県の場合、昨年はほぼ同数で今年はいずれも46人と全く同じだ。

   福岡県感染症対策係はJ-CASTヘルスケアの取材に対し、新規エイズ患者として報告されるケースは「(HIVウイルスに)感染していると知らないまま」発症してしまったためで、エイズ検査を早く受けていない可能性を指摘した。

   国立感染症研究所も、この点に注目している。「病原微生物検出情報」(月報)2017年9月号によると、エイズを発症してから初めてHIV感染を知る「いきなりエイズ」の率が、全国では30%程度で推移しているのに、福岡県では2013年度以降26%から50%に急上昇している点に触れた。そして「ハイリスクグループにおける受検行動の低下とも考えられるため, 福岡においては受検促進を含めた予防啓発活動が十分でないことを示唆している」と分析した。

早期発見で病気をコントロールする

   福岡県の資料を見ると、過去10年の保健所におけるエイズ相談と検査の件数は2008年がピーク。16年の相談、検査件数はいずれも08年の69%にとどまり、大幅に減っていることが分かる。

   福岡県としても、県民に検査の重要性を認識してもらうには「啓発が大事」(感染症対策係)と重々理解しているが、特効薬のような施策があるわけではなく、県内に9か所ある保健所や教育機関でのポスター掲示をはじめとした地道な取り組みを続けるしかない。

   ただ、改善点はあるようだ。福岡県内の保健所での検査は通常、平日の日中に行われる。毎年6月1日~7日の「HIV検査普及週間」や12月1日の「世界エイズデー」では、休日や夜間にも対応するが、今のところこうした特別な時期に限られる。例えば東京都では、普段でも週末や夜間に検査が受けられる医療機関が複数ある。

   検査は無料、匿名だが「結果を知るのが怖い」としり込みする人もいるだろう。感染症対策係の担当者は取材に、「かつては、(感染すると)死を覚悟するような病気と考えられていましたが、今日では早く見つけて病気をコントロールすれば、日常生活を送れます」と話した。早期発見により、自分自身だけでなく他人への感染を防ぐことにもつながる。行政側による、検査を受けやすい体制の整備が求められる一方、ひとりひとりが「検査に行こう」と意識を高めることも大切だ。

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