コピーライターでエッセイストの糸井重里氏が2017年10月16日、「まだ『バズる』ってことばは生きてるのかな?」とツイートし、反響を呼んでいる。糸井氏は、たとえ「バズらない」としても、より「大事」なことがあるのではないかと訴えている。「もう、人びとはわかっちゃったんじゃないかな」インターネット上の口コミによって爆発的に話題が拡散されるようなさまを指す「バズる」。ハチがブンブン飛び回るという意味の英語「buzz」が転化した言葉で、ビジネス界でもマーケティングの用語として使われることがある。ツイッターやフェイスブックといったSNSの普及により、日常のシーンでも広く見聞きするようになっている。糸井氏はツイッターで「まだ『バズる』ってことばは生きてるのかな? バズらないけど、少しずつみんなに信用されてるとか、ちょっとおもしろがられてるとか、なくなったらさみしいぞと思われてるとか、そういうことのほうが大事だって、もう、人びとはわかっちゃったんじゃないかな」と投稿。多くの印象的なキャッチコピーを生み出してきた糸井氏が「言葉」について投げかけた疑問は、ツイッターユーザーの反響を呼んだ。「あぁ、めちゃ分かります」「バズるために、他の人につっかかったり、極端な言葉を投げたりされる方、未だにいらっしゃる」「わかっちゃった人たちは声が小さいから声の大きい人たちにまだ聴こえ無いのかも知れませんね」「広告業界や著名人がバズらせるぞといきごんできたものより、無名の誰かのバズらせよう意図しない発信にに共感しバズる時代?」(原文ママ)糸井氏は「バズる」に関してこれまでもツイッターで発信していた。「『バズる』とかのことばを使う人が多数になっていくことは...」7月29日には「カルチャーの変化は、その文化圏で使われることばと共に」と切り出し、糸井氏はこう推測した。「『バズる』とかのことばを使う人が多数になっていくことは、かつて『キモい』だの『イケてる』だの言ってた人からの世代交代なのだろうな」また7月5日には、ウェブメディア「milieu(ミリュー)」の同日付記事「『誰のためにバズらせる?』南三陸で#BuzzCampを開催した理由」をシェア。この記事には、「私の書いた記事がバズっても、それはあくまで一過性の出来事です。ただ、伝えた知恵は、受け取る人の武器となるかもしれない」「ただただ一過性のものではなく、深く心に残ったり、しっかりと行動にうつしてもらえるような、意義あるバズ」「そのバズは何のためなのか?」など、筆者・塩谷舞氏の「バズ」に関する考察が複数織り込まれている。こうした記事に糸井氏は「ちゃんと、じぶんの考えをたしかめながら、しかも、率直に書いてるから、読む側も素直になれる。ありがとうございます」と称賛していた。
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