2024年 4月 20日 (土)

本田圭佑は日本代表に復帰すべき ブラジル戦大敗で見えたその存在感

   サッカー日本代表はブラジルとの強化試合に1対3で敗れた。前半で立て続けに3失点した。日本は11年前のFIFAワールドカップ(W杯)ドイツ大会で対戦してから、ブラジル相手に5戦連続で3失点以上を喫しての敗北続きだ。

   今回の代表招集を見送られたメキシコリーグ1部パチューカのFW本田圭佑選手はツイッターで、ブラジル戦について「この現状を問題視しないといけない」と危機感を露わにした。インターネット上では、本田選手の代表復帰を望む声もある。サッカージャーナリストはどう考えるか、取材した。

  • 本田圭佑がブラジル戦後にツイッターを更新した
    本田圭佑がブラジル戦後にツイッターを更新した
  • 本田圭佑がブラジル戦後にツイッターを更新した

改革は「サッカー協会を中心に議論する必要がある」

   2017年11月10日(日本時間、以下同)にフランス・リールで行われたブラジル戦は前半10分、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)のビデオ判定によってDF吉田麻也のPKを取られ、FWネイマールにあっさり先制された。同17分にはCKのクリアミスを見逃さず、DFマルセロがミドルシュートを突き刺した。同30分は鮮やかなパスワークからFWジェズスが冷静に流し込んで3対0。日本は後半17分のCKでDF槙野智章選手が1点を返すのが精一杯だった。

   選外だった本田選手はこのブラジル戦をどう見たか。11日付のツイッターで振り返った。

「自分が出てたとしても結果は変わっていないと言う前提で、差が縮まるどころか広がってると感じた前半30分。後半は完全にリラックスモード。この現状を問題視しないといけない」

   さらに「日本のサッカーが世界トップになるために何をどう改革するべきか、サッカー協会を中心に議論する必要がある」と長い目でみた変革の必要性を訴えた。本田のツイートには納得する声が多く、

「ブラジルを本気にさせることすら出来なかった内容だと思いました。本気になったブラジルに手も足も出なかった2006年のドイツ大会での一戦よりも差を感じました」
「どこか、戦う前から負けて当たり前的なものを感じてしまいました。そして、指導者はこれでいいのかと、議論してほしいです」

といったリプライが届いた。

「本田選手が優れているのは...」

   本田のツイートに対しては「日本代表には必要な年代」と復帰を望む声も少なくなかった。サッカージャーナリストで、ウェブサイト「フットボールレフェリージャーナル」を運営する石井紘人氏はJ-CASTニュースの11日の取材に、

「必要な選手だと思います。本田選手が優れているのは、1トップもこなせて空中戦もでき、セットプレーの守備要員にもなれるなど、戦術的に幅広く対応できること。それと最終予選でもそうでしたが、試合に出られなくても和を乱さずにベンチから味方を勇気づけられる。経験が生きているのだと思います」

と見解を述べた。

   一方、本田は「改革」の必要性を訴えていたが具体論はなかった。石井氏は「私が思うのは3点あります」と話す。

「まずJリーグのクラブ数と試合数が多すぎる点です。クラブが少なくなれば、よりレベルの高い選手で各チームが構成され、試合の質が上がります。そうして国際大会のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で勝っていくことをもっと重要視すべきと思っています。育成年代の組織改革も重要です。中高生は部活動に集まる人数が多すぎて、例えば100人部員がいればベンチ外が80人近くなって経験を積みづらくなります」

   2点目には、「審判と選手の関係も改善の余地があります。学生のプレーヤーでも、判定に納得がいかないと悪態をつくなど、真摯に自身のミスと向き合っていない傾向があります。タフさが養われづらいと感じます」と指摘。3点目には、「ケガをしないようにするための体の動かし方、特に足の動かし方をもっと指導できるような環境が必要です」と話していた。

「後半は勝った」の見方は「できません」

   石井氏には、日本とブラジルの「差」についても聞いた。「ブラジルを一瞬も本気にさせられなかった。ここに差が表れていると思います」と話す。

「強豪相手に立ち上がり15分で先制を許すというのは、絶対にやってはいけない。当初のゲームプランが一気に崩れ、浮き足立ちました。ブラジルは隙を逃さずに3得点して流しはじめました」

   ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は試合直後のインタビューで「残念な前半だった。ブラジルを見て驚いてしまった」とする一方、「後半だけ見れば勝った」と述べていた。この捉え方について石井氏は「そういう見方はできません。相手は後半流していました。完敗です」と一蹴する。

   「差」を埋めるには、今回先制点につながった「VAR」も1つのポイントになると石井氏は言う。VARは誤審の疑いがあるプレーを主審に伝える審判で、ゴールやPK付与、レッドカードに値し得るファール、といった場面でビデオ検証がなされる。

「VAR導入で、審判団は少しでも気になるシーンがあればチェックする意識をもつようになってきています。吉田選手がPKを取られたファールをはじめ、ペナルティエリア内の事象はより厳しく取られるでしょう。この1点がきっかけで日本は崩れたわけです。VARのことを頭に入れてプレーをしなければならない。逆にブラジルはVARの存在を意識していたと見えます」
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