2018年 6月 25日 (月)

動脈硬化を引き起こす脂肪はどこから来る? 食品ではなく口内細菌からを指摘する研究

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   動脈硬化のひとつ「アテローム性動脈硬化症」は、動脈の内壁に「アテローム」と呼ばれる粥状の物質が蓄積し、「プラーク」という隆起となって動脈を硬化・閉塞した状態だ。アテロームは脂肪分子などで構成されており、主に食品由来であるとされてきた。

   しかし、米コネチカット大学の研究者らが「脂肪分子は食品ではなく口内細菌由来ではないか」とする研究結果を、脂質研究の専門誌「Journal of Lipid Research」2017年10月号で発表したのだ。

  • まさかの細菌由来の脂質説
    まさかの細菌由来の脂質説

日和見菌由来の脂質を確認

   アテローム性動脈硬化症は全身のあらゆる動脈に発生する可能性のある動脈硬化で、発生部位によって心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす可能性もある。

   その名前の通り、脂肪分子やコレステロール、カルシウムなどで構成されたアテロームが動脈に蓄積し、炎症や肥厚・硬化をもたらし、プラークを作りだしてしまう。 アテローム自体は健康な人の動脈内にも存在するが、従来はバターや卵、肉、脂肪の多い魚、大量の油分など脂肪が多くコレステロールの高い食品を食べることで肥大化し、やがて動脈硬化に至るとされてきた。

   しかし、近年の研究で脂肪やコレステロールが豊富な食事を食べている人に必ずしもアテローム性動脈硬化症が発生しているわけではないことが指摘されており、一体何が原因でアテロームが生じるのか検証が求められていた。

   コネチカット大学の研究者らは、アテローム性動脈硬化症の治療のため医療機関で動脈内膜切除手術を受けた患者らからアテロームのサンプルを回収。成分分析を行い、アテロームに含まれる脂質を詳しく調査した。

   すると、脂質に含まれている脂肪酸の構造が動物性のもの(食品由来のもの)とは全く異なることがわかった。

   では、この脂肪酸はどこ由来なのか。いくつかの脂質と比較したところ、人の口内や腸内に存在するバクテロイデス科の細菌が分泌する脂質に含まれる脂肪酸と同じものであることが判明した。バクテロイデス科の細菌は俗に「日和見菌」などと呼ばれ、通常は人体に有害でも有益でもない存在だ。

   さらに調査を進めると、この細菌由来の脂質には脂質を炎症促進物質に分解する酵素も含まれていることがわかり、動脈硬化にとって二重の問題を引き起こしている可能性もあるという。

脂質の侵入経路は不明

   この細菌由来の脂質は一体どこから血管内へと流れ込んだのだろうか。研究者らによると細菌が直接血管へと侵入することはできないため、可能性があるとすれば脂質だけが何らかのルートで細胞壁を通り抜けるしかない。

   今のところまだそのルートは判明しておらず、正確な蓄積経路を見つけるためにアテロームのより詳細な分析を行う予定だという。研究者らはバクテロイデス科の細菌が口内で過剰に繁殖した場合、歯肉炎を引き起こす可能性が高いことから、口内疾患の有無が脂質の蓄積と何らかの関係にあるのではないかと推測している。

   では、脂質の発生源となっている細菌を除去することはできないのだろうか。一見いいアイデアのようだが、口内や腸内に一般的に存在する特定の細菌だけを除去するというのはほぼ不可能だ。仮に除去できたとして、その部位の細菌叢(最近の生態系)が大きく乱れ、別の健康被害を起こさないとも限らない。

   アテローム性動脈硬化症を含め、動脈硬化は定期的な運動や禁煙、安定した血圧の維持によってそのリスクを大きく抑えられることが確認されている。新たな報告まで、まずは健康的な生活習慣を心がけるべきだろう。

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