北京が脅える「米国の減税」 中国で稼いだ金は中国で 

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   中国政府は今まさに自分なりのペースの徴税政策により、外資の誘致を強化しようとしている。これは米国政府の減税に対抗する意味を大いに含んでいる。

   中国の財政部(省)・国家税務総局など4部署は連名で2017年12月28日、「配分利益を直接投資に向ける域外投資家に対して源泉所得税を暫時徴収しない政策問題に関する通知」(以下「通知」と略)を発表した。

  • 中国政府は米国の減税政策に対抗措置を取ったのか
    中国政府は米国の減税政策に対抗措置を取ったのか

年末に発表された財政部門「通知」

   この「通知」によると、この措置は「国務院の外資増加促進についての若干の措置に関する通知」に関連するもので、外資の増加を促進し、域外投資家が続けて対中投資を拡大するよう奨励するためのものである。

   ただし、「税徴収の暫時延期」の待遇を得るためには、外国企業の新たな投資は特定の条件を満たさせねばならず、「奨励類投資項目」への直接投資、つまり中国政府が特に支持する産業でなければならない。「通知」によると、これには「外国企業投資産業指導目録」および「中西部地区外国企業投資優勢産業目録」も含まれる。

源泉所得税を暫時徴収しない

   「通知」の中には多くの難解な経理・税務の専門用語が含まれるが、簡略的・通俗的に言うならば、「外国企業が中国で稼いだ金を続けて中国で投資するなら、こうした優遇を受けることができる」と言い換えることができる。

   国際租税専門家の解釈によれば「配分利益を直接投資にむける域外投資家」とは、配分利益を母国に持ち帰らない、つまり域外に送金しないことを指す。これまでは、利潤を域外に送金する、しないにかかわらず、外国企業はすべて5%あるいは10%の「源泉所得税」を納める必要があった。中国と租税優遇協定を結んでいる国の企業は5%を、それがない国の企業は10%を納めていた。

   源泉所得税は営業収入(利益ではないことに注意)に応じて5%あるいは10%を納めるものだったが、今回の「通知」では、域外投資家が中国域内に籍をおく企業から配分された利益を、「奨励類投資項目」へ直接投資し、規定された条件に合えば、繰延納税政策がとられ、源泉所得税を暫時徴収しないと改められた。

   いわゆる繰延納税とは、通俗的にいえば納税を一定の期間遅らせることである。繰延納税では税額を減らすことはできないものの、納税者は無償でこの金を使うことができ、利息を支払う必要がなく、納税者からすると税負担の軽減に等しい。納税期限の繰延は資金繰りにプラスとなり、利息支出を節約でき、さらに納税者にインフレによる利点を享受させることにもなる。

   『経済観察報』が報じた国際税法弁護士の話によると、この「通知」の内容はかなり以前から論議が進んでいたが、実施されることはなかった。それは資本の出どころに応じて税制優遇策をとることは外資に「超国民待遇」を与えることとなり、これは域内資本からすれば一種の不平等待遇にあたるのではないかという懸念があったからだった。

米国企業による資本流出の恐れ

   しかし、今になって、どうしてそうした懸念が問題とされなくなったのか。それは「情勢」が逼迫しているからである。2017年1~10月の中国の外資実際使用額は前年比わずか1.9%増という空前の低さであった。

   また、トランプ米大統領がクリスマス前に制定した米国の減税改革法案が中国にさらに大きなプレッシャーを与えた。

   トランプ大統領の税制改革は米国企業が海外で得た利益を米国に戻し、投資させようというもので、同時に米国企業のコストを低減させ、米国の投資環境の吸引力を高めようとするものだ。ドイツ通信社(DPA)は、中国側が中国資本の流失、ひいては一部の米国企業の中国からの撤退を促すのではないかと恐れているという一部の専門家の見方を紹介している。

   米『ニューヨーク・タイムズ』の2017年12月29日付のサイトでは、中国の「通知」は米国の税制改革について明確には言及していないが、これが米国の税制改革に対抗する措置であることは「ほぼ間違いない」というアナリストのコメントが紹介されている。

   報道の内容は、米国の税制改革により米国企業が中国から業務撤退する、あるいは一部の収入を米国に送金することで、国外投資家の収入が大量に本国に送金されて資本流失を引き起こすことを、北京にいる中国の官僚は恐れている、という趣旨だ。

   米国の減税が中国に重い腰を上げさせて、もう一回外資を優遇せざるを得なくなっている。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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