2018年 8月 16日 (木)

スカパラジャケット「差し替え」騒動の論点 指摘したイラストレーター・中村佑介さんに聞いた

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   音楽バンド「東京スカパラダイスオーケストラ」の新シングル「ちえのわ feat.峯田和伸」のジャケット画像が差し替えになった問題で、当初から差し替え前の画像に疑いの目を向けていたイラストレーターの中村佑介さん(40)が、J-CASTニュースの取材に応じた。

   画像のイラストを担当したアーティストのハシヅメユウヤさんからメールで話を聞いたとして、現在の心境を打ち明けた。

  • 藤子F作品と似ていると指摘を受けたジャケット(画像はハシヅメさんのインスタグラムから)
    藤子F作品と似ていると指摘を受けたジャケット(画像はハシヅメさんのインスタグラムから)

ジャケット画像の変更を発表

   東京スカパラの新シングル「ちえのわ feat.峯田和伸」をめぐっては、ジャケットの画像が漫画家の藤子・F・不二雄さん(1996年死去)とそっくりなタッチで描かれているとして、中村さんが2018年1月18日のツイッターで「藤子・F・不二雄プロと小学館にきちんと許可取ってる...んだよね!?」と疑問を呈していた。

   画像のイラストを担当したハシヅメさんは以前から、藤子F作品を彷彿させるイラストをインスタグラムなどで公開しており、ツイッターなどインターネット上では「パクリでないのか」と疑問を呈する向きも。東京スカパラは一連の事態を受けてか、公式サイトで23日、ジャケット画像の変更を発表した。

   ハシヅメさんはJ-CASTニュースのメール取材に26日の昼過ぎ現在、返答していないが、中村さんと連絡を取り合っていたようだ。中村さんがハシヅメさんのインスタグラムに「藤子・F・不二雄プロの許諾を得ているのかだけ教えてください」とコメントしたところ、「DM(編注:インスタグラムのダイレクトメッセージ機能)させていただきます」と返信している。J-CASTニュースは24日、中村さんへ取材を申し込んだ。

   中村さんは26日、全文掲載を条件にJ-CASTニュースへコメントを送付した。回答は以下のとおり。

平素よりたいへんお世話になっております。

   今回お問い合わせ頂いた件につきまして、まずはじめに、もし今回のコメントを掲載する場合は、勝手ながら、一部抜粋ではなく全文掲載をお約束させて下さい。その理由に関しましては後述致します。

   アーティスト・ハシヅメユウヤさんとはメール上で個人的に連絡を取り合い、今回の経緯や、ハシヅメさんのご認識、著作権的に問題のある今の表現方法ではアンダーグラウンドで活動するしかなく、「藤子・F・不二雄先生の素晴らしさをもっと広めたい」というせっかくの素敵なお考えと逆方向へ行くことしかできないという矛盾、その上で絵の仕事を続けていく為の必要なノウハウ等、たくさんのお話しをさせて頂きました(次項へ続く)

「権利元に無許可でコピー・改変されたものが『大々的』に『販売』されたから」

よく誤解を受けるのは、作風(タッチ)自体は著作権は持たないことから、「影響」や「パクリ」と呼ばれるものは著作権侵害にはあたらないこと、また「模写」(見て描き写す)や「トレース」(上からなぞる)も、絵の練習に必要なことであり、その行為自体は問題ではございません。カラーコピーを近所に配るのはちょっと問題になります。そして今回問題になったのは、ハシヅメさんにより、藤子F作品のキャラクターやコマを、権利元に無許可でコピー・改変されたものが『大々的』に『販売』されたからだとご認識ください。この違いは、少数の子供が公園で、友達同士で遊びでサッカーをしていて、そこでハンドしても、「しょーがねーなー(笑)」で済まされますが、きちんとした試合では反則になる、という風に捉えると解りやすいかもしれません。詳しくは私の一連のTwitterや、自身のインターネットラジオ(0:24:00~1:25:00辺り)で詳しくお話しさせて頂いてておりますので、そちらもあわせてご参照ください。

   今回起こったことはアマチュア、プロを含めたクリエイターにとっても、それを育てるファンにとっても、危惧することであり、同時にまだ日本で曖昧な認識である著作権を考えるよい機会にもなったと思いますが、小学館集英社プロダクション様、カッティングエッジ様、並びに各担当者様、担当責任者様は、たいへん難しいスケジュールや様々な関係性の中、あの場においては最大限に誠実なご対応だったと、ただただ頭の下がる思いです。ここで更に、インターネット上で読ませるために必要な最小文字数において、結果的にキャッチーにせざるを得ない記事で、見出しや上澄みのみの誤解が拡散されると、不必要なバッシングや噂を立つことの方がより危惧されますので、このように異例で早急にジャケットが改変になった時点で、何も言わずとも、理解できる人は理解し、感じる人は感じ、考える人は考え、これにて、今回の件については、もう結果を受け止めることこそが誠意だというのが率直なところです。

   最後に、音楽や漫画と比べ、著作権の認識も含め、日本のイラストレーションを取り巻く環境はまだまだ発展の余地があります。はじめの例で出したサッカーのように、最大限に楽しむことは同時に、最低限のルールを守ることでもあります。今後も、まだ曖昧な一線をみんなで「あぁだこうだ」と決めながら、一緒に未来の楽しい日本文化が築いていけることを切に願っております。

   本日はお忙しい中、長い文章にお付き合い下さり、ほんとうにありがとうございました。

2018年1月25日 イラストレーター・中村佑介
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