2ちゃんねる用語「20年目」の今 消えた「逝ってよし」「オマエモナー」、定着した「神」

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   日本最大の掲示板サイト「2ちゃんねる」は、2018年で開設20年目を迎える。SNSやスマートフォンの普及でネット世界の景色が様変わりし続ける中、「5ちゃんねる」と「2ちゃんねる(2ch.sc)」に事実上分裂するなどの紆余曲折はありつつも、今も強い存在感を保っている。

   そんな2ちゃんねるといえば、あの独特の「2ちゃんねる用語」を忘れることはできない。オマエモナー、逝ってよし、半年ROMれ――今ではすっかり見なくなったあの言葉たちを振り返る。

  • 書籍版「2典」。2002年~05年にかけ3度にわたり刊行された
    書籍版「2典」。2002年~05年にかけ3度にわたり刊行された
  • オマエモナーの解説
    オマエモナーの解説

「2典」もすでに姿を消した

   『2典~2ちゃんねる辞典~』。ブッキングから2002年に刊行された書籍が、今筆者の手元にある。

   有志が中心となって2ちゃんねる用語をまとめるサイト「2典」は、2ちゃんねるへの関心が急激に高まりつつあった2001年誕生した。後継サイト「2典plus」時代も含め、最盛期には3000語を超える項目が作られ、3度にわたって書籍化されている。しかし2005年の「第3版」(宝島社)を最後に紙の本は作られず、サイト自体も2014年ごろから閲覧不能となった。

   最初の書籍版である上記の「初版」には、およそ1000語が収録されている。たとえば、2ちゃんねるを代表する用語としておなじみの「オマエモナー」の項は、こんな具合だ。

「(1)煽りの一種。『お前もな』が語源。自分の事を棚にあげて他人の事を馬鹿にした者に対して使われる。『逝ってよし』と言われたら『オマエモナー』と返すのが礼儀とされている。『オマエモナー』と言った者に対して使われることもある。
(2)2ちゃんねるAAキャラクター『モナー』の本名」

   なれ合いを嫌い、「殺伐」をよしとした当時の2ちゃんねるの姿が、ありありと浮かぶようだ。

   罵倒語として使われた「DQN」、書き込みをせずレスを読むだけの行為をいう「ROMる」、暴走族への言い換えとして提案された「珍走団」、ほかにも「あぼーん」「がいしゅつ」「激しく同意!」「ものすごい勢いで」「きぼーん(キボンヌ)」「~と思われ」「ケコーン(結婚)」「正直、スマンカッタ」――現在20代後半以上のあなたなら、懐かしい気持ちになれるかもしれないが、これらの言葉のほとんどは、すでにネット上でも使われることがない。

「神」「学歴ロンダリング」など生き残る言葉も

   若い世代には詳しく説明しないと、もはや意味が通じないものも多い。たとえば罵倒語でよく使われた「回線切って首吊って死ね」。もはやスマホがネット利用の主流となり、パソコンでも無線接続が当たり前となった今では、吊るのもなかなか難しい。夏休みになると流れ込んでくる低年齢ユーザーを指した「夏厨」も、中高生が日々ネットに触れている今では、その概念そのものが消滅してしまった。「テレホ」などは、当時のネット接続のシステムからまずは解説する必要がある。

   一方で、現在も使われている言葉もちらほら見つかる。たとえば、最大級の賞賛の言葉として使われていた「神」は、「神対応」などの形で一般化した。編入や大学院などで上位の大学に進学することを(侮蔑的に)表現した「学歴ロンダリング」は、書籍やニュース記事のタイトルなどとしてもしばしば使われる。モヤモヤする、といったニュアンスの「もにょる」なども、今もツイッターなどでよく見かけるが、元々は「同人コミケ板」発祥の言葉だ。

   「叩く」「煽る」のように、2ちゃんねる生まれではなくとも、その定着に一役買った言葉もある。

ネットと現実の言葉に差がなくなった

   ITジャーナリストの井上トシユキさんは、

「『2典』が書籍化された2002年は、ブロードバンド接続の普及により、インターネットが一部のアーリーアダプターやオタクから、一般へと広がってきた時期です。当時は、新たにネットを始めた人に、ネット用語を教えないとコミュニケーションさえ取れなかった」

と、2典の存在意義を説明する。

   しかし、ネットが当たり前となり、「デジタルネイティブ」という言葉さえ陳腐化した今では、そんな事情は大きく変わった。

「かつてはネットには独特の言い回しがあり、それが一般社会にも時間差で伝播する、という構図がありました。しかし今では、現実とネットの言葉にほとんど差がありませんね。ネットで流行った言葉があっても、即現実に波及しますし、逆もそうです。LINEなどから広まった『マジ卍』も、ほとんど同時に街中で使われるようになりました」

   2ちゃんねる用語はまさに、「ネット」と「現実」の距離があった時代ならではの産物だったというわけである。

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