神鋼、異例の「傍流」出身トップ 「データ改ざん」ショックの乗り切り方

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   2017年10月に品質検査データの改ざんが発覚した神戸製鋼所が18年3月6日、弁護士ら外部調査委員会による最終報告書を発表し、併せて川崎博也会長兼社長が4月1日付で引責辞任すると表明した。後任の社長には山口貢副社長が昇格することが3月9日、明らかになった。

   神戸製鋼は最終報告書の発表と経営トップの交代で、一連の不正に一区切りをつけたいとしているが、失った信頼は大きく、信頼回復の道のりは遠い。

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最終報告書を公表

   神戸製鋼は米司法当局の捜査を受けており、外部調査委員会の調査をそのまま公表するのは顧客情報などが含まれ法的に問題があるとして、神戸製鋼としての見解を示す最終報告書(約80ページ)を公表した。その最終報告書によると、神戸製鋼では少なくとも1970年から不正が組織的に行われていた実態が明らかになった。不正の背景には「受注の獲得と納期の達成を至上命題とする風土」があり、「顧客仕様を逸脱しても一定程度なら安全性の問題はないため出荷しても構わないという誤った考え方があった」とした。

   神戸製鋼の川崎会長兼社長は、6日の記者会見で「役員を含む多くの者の認識や関与の下に長期間にわたって不正が継続してきた。当社は組織風土や役員・社員の意識面で根深い問題を抱えていると言わざるをえない」と陳謝した。自身の進退については「今回の不適切行為により、多くの顧客に迷惑をかけた責任は大きい。再発防止策の確実でスピーディーな実行は新しい経営体制でやるべきだ」と、引責辞任する考えを示した。

   最終報告書によると、不正には現職の執行役員3人と元職の取締役ら2人のほか、社員40人超が関与しており、不正が長期間、組織的に行われていたことがわかった。その背景には「機会があれば取りあえず受注する」「できるだけたくさんの製品を生産して利益を上げる」というプレッシャーに加え、人事異動が少ない組織の閉鎖性が不正の温床となっていた。

米国・カナダでは集団訴訟

   新たに社長に就任する山口氏はコンプレッサーなど機械事業部門の出身で、2017年に同部門担当の副社長となった。品質データ改ざん問題は主力の鉄鋼やアルミ・銅事業部門が中心で、機械事業部門は比較的かかわりが少なかったため、神戸製鋼は不正の再発防止など経営の建て直しに最適と判断したようだ。これまで同社の社長は主力の鉄鋼部門出身者が就くことが多かったので、異例の「傍流」出身のトップということになる。

   神戸製鋼は2018年3月期の通期業績として、売上高が1兆8900億円(前期比11.4%増)、最終利益が450億円と、3期ぶりの最終黒字を予想している。取引先への補償費用などで100億円の経常損益の悪化を見込んでいるが、経常損益も前期の赤字から600億円の黒字を確保する見通しだ。自動車メーカーなどは神戸製鋼との取り引きをすぐに変更できない事情もあり、短期的には神戸製鋼の経営に大きな打撃はないようだ。

   しかし、神戸製鋼は今後の米司法当局の捜査の進展しだいでは巨額の制裁金を科される可能性は残っている。米国、カナダの消費者からは消費者保護に反するなどとして集団訴訟を起こされており、今後の行方はなお予断を許さない。

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