アメフトの日本大学対関西学院大学の試合で、日大の選手がプレーとは直接関係のない場所で危険な反則タックルを繰り返した問題で、試合を主催した関東学生アメリカンフットボール連盟が声明を発表した。
声明は2018年5月10日、連盟の公式サイトに掲載されたもの。問題のプレーを「あらゆるスポーツにおいて順守されるべきフェアプレー精神やスポーツマンシップ精神を著しく損なう」と厳しく断じ、該当選手への出場停止処分を下したと報告している。
「あんな悪質なタックルは初めて見ました」
問題となったラフプレーは、5月6日に東京・調布のアミノバイタルフィールドで行われた試合で起きた。東西を代表する強豪校同士で、17年の大学選手権(甲子園ボウル)でもぶつかった日大と関学大の一戦だ。
この試合冒頭、日大のディフェンス選手がラフプレーを連発。パスを投げ終え無防備になった相手クォーターバック(QB)に背後から走り込んで強烈なタックルを加えるなど反則行為をし、試合開始から5プレーでこの選手は退場処分となった。
試合の模様を報じた6日の共同通信の報道によれば、この日大選手が退場したのは、試合中に口論となった相手選手を殴ったためだという。試合は21-14で関学大が勝利したものの、関学大の先発QBは反則タックルにより負傷し、一時フィールドを離れた。
フェアプレー精神から大きくかけ離れた日大選手のプレーに、アメフトファンらからはツイッターに、
「あんな悪質なタックルは初めて見ました」
「これで、もしこのQBが脊髄でも損傷したらどうなってたのだろう。選手生命どころか、日常生活さえまともに出来なくなってたら。。。」
「選手、コーチ共に追放しては。ありえない反則、というより暴力行為です」
といった戸惑いや怒りの声が相次いだ。
プロ選手も「このまま流されるべき問題ではない」
さらにファンの間で問題視されたのは、ニッカンスポーツ(ウェブ版)が6日夜に伝えた、日大の内田正人監督のコメントだ。記事によれば、内田監督は問題のプレーについて、
「選手も必死。あれぐらいやっていかないと勝てない。やらせている私の責任」
と話したという。この談話にはニッカン記者も驚いたのか、「(内田監督は)独自の持論を展開した」との表現でコメントを紹介している。
今回の日大選手のプレーと内田監督の談話については、アメフトの国内プロリーグ「Xリーグ」IBMビックブルーに所属する栗原嵩(たかし)選手も7日のツイッターで、
「この子の勝手な暴走なのか、チームの指示なのか。このインタビューだけ見ると色々心配になる。危険なラフプレーと激しいプレーは全く違う」
と苦言。続くツイートでも、「これはこのまま流されるべき問題ではない」として、連盟に対しても「動いてほしい」と訴えていた。
監督も厳重注意処分に
こうした騒動を受け、関東学生アメリカンフットボール連盟は10日に声明を発表。問題のプレーは「あらゆるスポーツにおいて順守されるべきフェアプレー精神やスポーツマンシップ精神を著しく損なうものとして、関東学生アメリカンフットボール連盟として極めて重く受け止めています」として、
「日本大学が加盟している連盟を代表して、本件において負傷されました関西学院大学の選手ならびに対戦相手の関西学院大学の関係者の皆さま、そして国内外のアメリカンフットボールを愛する皆さまに多大なご心配とご迷惑をお掛けしましたことを、心よりお詫び申し上げます」
と謝罪した。
声明では、該当選手は追加的な処分の内容が決まるまでは対外試合の出場を禁止するとも発表。日大の内田監督についても、「スポーツマンシップに則り、公式規則を遵守し、重要な規律をプレーヤーに継続して教えねばならない」として厳重注意とした。
今後は、問題のプレーを調査・報告する規律委員会を設置し、詳細な調査を行った上で最終的な対応を決定するという。
一方、日大アメフト部も同日に公式サイトに謝罪文を掲載。「今回の事態を厳重に受け止め、今後はこのようなことがないよう、これまで以上に学生と真摯に向き合い指導を徹底してまいります」とした。