2018年 6月 22日 (金)

リクルート株、一時は「狼狽売り」  すぐに見直し買いが入った理由

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   人材派遣大手、リクルートホールディングス(HD)の株価が2018年5月中旬から下旬にかけて連日、上場来高値を更新した。5月15日の取引時間中(13時30分)に18年3月期連結決算と19年3月期の業績予想を発表したが、その内容が市場予想を下回ったことが嫌気され、この日の株式市場は株価下落で反応。しかし、国内の人手不足感が強いことなどから、見直し買いが入り、5月17日以降は高値を追う展開となっているのだ。

   15日に発表された2018年3月期連結決算では、純利益が前期比11.0%増の1516億円となり、2期連続で過去最高を更新した。米国、欧州での減税により法人税負担が減ったほか、本業の人材派遣や求人サイトビジネスが世界的に好調だったことによる。売上高は11.9%増の2兆1733億円、営業利益は0.9%減の1917億円だった。営業利益の減少は、会計基準を国際基準に変更したことに伴い、17年3月期に子会社売却益が計上されたことの反動減が主因で、本業に異変が起きているわけではない。

  • リクルートHDが高値を追う展開に(画像はイメージ)
    リクルートHDが高値を追う展開に(画像はイメージ)

EBITDAも過去最高を更新

   株式市場や会社側が重視する「EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)」は11.3%増の2584億円だった。EBITDAは税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益のこと。国によって税率や減価償却の方法、金利の水準は違うため、その違いを最小限に抑えた本来の稼ぐ力を示すもので、世界的な企業を比較する際の指標ともなる。そのEBITDAも過去最高を更新したが、市場予想平均(2655億円)は下回った。

   また、2019年3月期の業績予想は売上高が前期比5.9%増の2兆3020億円、営業利益は9.5%増の2100億円、純利益は0.9%増の1530億円。EBITDAは10.3%増の2850億円だから、純利益もEBITDAも過去最高の更新を見込むもので、見通しが悪いわけではない。純利益の伸びが鈍いのは米国の減税効果が小さくなることが大きい。ただ、ここでもEBITDAは市場のコンセンサス(3053億円)を下回る。実績、予想ともにEBITDAが市場予想を下回ったため、発表当日は売られる展開となった。一時は前日終値比5.9%下落の2648円まで下落、終値は前日比2.5%下げた2745円だった。

買収によって海外展開も成功

   ただ、15日は発表内容を分析する時間もなく、最高益にもかかわらず「狼狽(ろうばい)売り」のような格好になったようだ。SMBC日興証券が16日に配信したレポートでは「2018年3月期のEBITDAが市場コンセンサスから下振れしたのは、2019年3月期以降の成長に向けた費用投下(投資)が市場の見通しを上回ったためで、ネガティブなものではない」と評し、19年3月期のEBITDAについても求職者の口コミサイトを運営する米社買収と成長に向けた投資が理由だと前向きにとらえた。また、大和証券は5月16日にリクルートHDの目標株価を3200円から3380円に引き上げた。求人情報サイト大手の米子会社インディードの高い成長力などを評価した。

   こうした分析なども手がかりに株式市場は決算発表翌日の16日から買いに転じ、17日には取引時間中に2869・5円と上場来高値を更新、さらに23日には3000円の大台に乗せ、その後も上値を追う展開だ。

   有効求人倍率は2017年度に1.54倍と44年ぶりの高水準で、その傾向は続いており、18年3月期は人材派遣大手各社が軒並み最高益を更新した。今や一大産業となった感があり、買収によって海外展開をも成功させているリクルートHDには買いが集まりやすくなっている。

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