2018年 11月 17日 (土)

財政再建の「大甘」新計画 「支出増」へは意欲満々

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   財政健全化の政府の新たな計画が固まった。借金に頼らず毎年度の政策経費をまかなえるかを示す国と地方の基礎的財政収支(PB)黒字化の時期について、従来は2020年度としていたのを25年度に、5年も先送りする一方、社会保障費を中心とした歳出抑制策には踏み込んでいないなど、総じて「経済成長頼み」が特徴だ。

   政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で18年6月5日、「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」の原案が示された。

  • 支出を増やす意欲ばかり
    支出を増やす意欲ばかり

PB黒字化、2020年目標を5年先送り

   原案のうち、財政健全化に関しては、(1)2025年度PB黒字化を実現する、(2)これに向けた中間検証として21年度時点の進捗状況を3指標で点検する、(3)19年10月に消費税率を10%に引き上げる、(4)増税後の景気下振れを防ぐため19~20年度に景気対策を実施する、(5)19~21年度を社会保障の「基盤強化期間」と位置づける――などを盛り込む。

   このように羅列すると、意味がわかりにくいが、この間の経緯を含めて整理すると、以下のようになる。

   そもそもPB黒字化の目標が導入されたのは小泉純一郎政権時代の2003年で、「10年代初頭に達成」という漠然としたものだったが、06年に「11年度」とされた。この時は、さして難しい目標とは思われなかったが、08年のリーマン・ショックなどを経て一段の財政出動を迫られたことから、09年に目標時期を「10年以内」(つまり、19年度)と先送りされ、民主党政権下の10年に「20年度」と定められた。

   それでも、2020年度黒字化目標は維持され、国際会議でも繰り返し表明した「国際公約」だった。安倍首相は目標堅持を口にする一方、消費税増税(税率8→10%)を14、17年の2度にわたって先送り。当然、PB黒字化は厳しくなるが、経済成長率を高く見込み、税収を多く見積もって辻褄合わせをしてきた。しかし、17年の総選挙に当たって、19年10月の消費税増税(税率8→10%)実施とともに、財政再建に回すはずの増収分の一部を子育て支援に回し、20年PB黒字化は先送りすると表明。新たな財政再建の道筋を今回の骨太の方針でまとめることになっていた。

「水増し成長率」の上に築いた「砂上の楼閣」に?

   以上の経緯を踏まえ、今回の原案をみると、極めて「緩い」のが特徴と言えそうだ。 財政を健全化するには、「入」を増やすか、「出」を削るか、つまり税収を増やす、支出を減らすという2つしかない。税収増には、消費税率引き上げなどの増税と、経済成長による税収増加の両面がある。

   税収については、前提となる経済成長率を「実質2%、名目3%超」というバブル期並み以上の高成長としている。むろん、消費税率をさらに上げることは、当面は考えられないから、今回の計画は「水増し成長率」の上に築いた「砂上の楼閣」となりかねない。

   2021年度時点で点検する3指標は、(1)PB赤字の国内総生産(GDP)比を1.5%程度、(2)債務残高のGDP比を180%台前半、(3)利払い費などを含めた財政赤字のGDP比3%以下――というものだが、(2)と(3)は厳しい抑制をしなくてもクリアできる見込みで、内閣府も「検証のための中間指標であって、目標ではない」と釈明するほどの大甘の基準。「黒字化目標を5年先送りする以上、中間チェックを言わないわけにはいかないという程度の意味しかない」(エコノミスト)。

「抜本的な議論は先送り」

   そうなれば、いかに「出」を抑制できるかが、2025年度黒字化のカギということになる。ポイントは国の政策経費の44%を占める医療・介護などの社会保障費で、団塊の世代が75歳になり始める前の19~21年度を「基盤強化期間」と位置づけた。しかし、従来計画は社会保障費の伸びを16~18年度の3年で1.5兆円程度に抑える目安を設けていたが、今回は「高齢化による増加分に相当する伸びにおさめる」という文言を盛り込んだだけ。財務省が主張した医療機関の窓口で75歳以上の高齢者の自己負担を現行の1割から2割に引き上げることなど、給付減や負担増の具体案の明記は見送られた。

   一方で、消費税増税後の景気下振れを防ぐためとして、「税率引き上げで起こる需要の変動をならすよう万全を期す」と記し、2019~20年度に景気対策を実施することを打ち出した。住宅や自動車の減税拡大などが取りざたされている。すでに、消費税率引き上げによる増収のうち1.7兆円は幼児教育・保育や大学の無償化に使うことが決まっており、これも含め、支出を増やす意欲ばかりが目立つのが、今回の骨太の方針だ。

   霞が関では、「増税を2度も延期された財務省はもちろん、他の官庁も含め、2019年10月の消費税増税までは国民負担増につながる話はできない」(経済官庁関係筋)との空気が支配しているという。

   現状では、2025年度黒字化は達成困難と見る専門家が多いが、「とにかく目標を掲げることで、社会保障改革などの抜本的な議論は先送りされた」(大手紙経済部デスク)のは間違いない。

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