2024年 5月 5日 (日)

サカイ引越センター、猛暑で「作業員に休憩を」 利用客に願い出「すごく良い」

   引っ越し運送大手・サカイ引越センター(本社・大阪府堺市)を利用した客が、「猛暑のため作業員に休憩を入れてやりたいので遅れる」という旨の連絡を受けた、とツイッター上で明かした。

   各地で猛暑日が続き、命の危険があると警戒されているなか、休憩時間の確保を願い出たことに、同ユーザーは「すごく良いことだと思いました」と感心した。

  • 酷暑の引っ越し作業に関するツイートが話題に(画像はイメージです)
    酷暑の引っ越し作業に関するツイートが話題に(画像はイメージです)
  • 酷暑の引っ越し作業に関するツイートが話題に(画像はイメージです)

作業に「不満点は全くないです」

   サカイ引越センターについてツイッターに投稿したのは、28歳男性の「磯貝」(@isoisoyuji)さん。2018年7月18日11時すぎ、同日午後に引っ越し作業を予定していたところ、

「猛暑のため午前便の作業員に休憩を多めに入れてやりたいのでお客様のお宅に伺うのが遅れます」

と連絡が来たという。18日は岐阜県多治見市で40.7度を観測したのをはじめ、全国各地で猛暑日。磯貝さんは「すごく良いことだと思いました。そりゃねこれ、むりしたらプロでも死ぬよ」と納得した。

   その後15時すぎ、「サカイ引越センターさん。今予定より1時間弱遅れで作業スタートされました。暑い中笑顔なのがすごいです」と報告。19時ごろ「1時間ほど前に作業終わりました」と伝えた。

   最初の投稿に21万件の「いいね」がつく(20日昼時点)など話題になり、多くのユーザーから意見が届いていた。磯貝さんはこれに答える形で「『作業員増員するべき』という指摘がありましたが、作業員どころか予定になかったトラックもう1台まで手配して迅速に終わらせてくれましたよ。素晴らしいですね」とも明かしている。

   「午前便が遅れたのを上手い言い訳で回避しただけ」という意見に対しては、「確かにそうかもしれませんけど僕は午前便が遅れた理由について意見するつもりも一切なく、その理由について想像しうる色々な事象を勘案してもおそらくそれはサカイ側のせいではないと思っているので何の問題もないです」と意に介さなかった。

   J-CASTニュースが19日、磯貝さんに話を聞いたところ、引っ越し先は直線距離で1キロメートルほどの短距離。3人暮らしで、引っ越し作業員は4人いた。実際の作業について、「不満点は全くないです」「良いサービスと出会ったことに間違いありません」とのことだった。

サカイ社は今回の対応をどう捉えているのか

   磯貝さんの投稿には、同社の元従業員・アルバイトだというユーザーも意見を発している。「僕のところは休憩も多め」という声がある一方、「どこの夢の世界?」「営業所にもよるでしょう」と作業員を気遣う対応について疑問も少なくない。また、「暑いのかなりわかるけど、到着してなくて休憩なんやね」と対応としては不適切ではないかという指摘もある。

   今回のように、熱中症などへの対策で客先訪問前に休憩を取ることは、全社的に推奨しているのか。サカイ引越センターの広報担当者は20日、J-CASTニュースの取材に、「予定時間に変更がないように、というのが基本です」として、

「作業中に休憩時間をとらせていただくことを見込んで、お客様のお宅にお伺いすべきところが本来かと思います。ですので、今回の対応が企業として正しかったかどうかは、一概には判断しかねているところではあります」

と話す。その上で、

「ただ、好意的に受け止めてくださったお客様の懐の深さに感謝申し上げたいです」

としている。

   炎天下の引っ越し作業は熱中症のリスクが高いとし、「10分動き回ると、汗でシャツが絞れるくらいになることもあります」というほど。大きな家庭の引っ越しだと、積み込みだけで3~4時間かかることもある。そのため、本社から全国の支社に猛暑対策自体は促している。

   たとえば「経口補水液や熱中予防のタブレットを携帯させたり、トラック内にクーラーボックスを持ち込んだり、冷たいタオルを常備させたり、といったことはさせています」というほか、

「数十分に1回は飲み物を飲みなさいとか、1時間に一度は10分ほど休憩するといったことを、お客様の迷惑にならない範囲でお声がけし、願い出るようにしています」

といったものだ。磯貝さんもツイッターの中で「作業員さんは10分動いたあとに10分休憩を取っていた」ということも伝えていた。

   今回のケースについて、広報担当者は「『熱中症で体調を崩してご迷惑をおかけするリスクがあるのなら、先に休憩させよう』という現場の判断だったのだと思います。遅くなるのでとにかくお詫びの連絡を、という心づもりだったところ、お客様が前向きに受け取ってくださったようです」と話していた。

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