2018年 11月 16日 (金)

「無断RTやめて」は日本の国民性? ルールより「お気持ち」が大事なの

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   自分のつぶやきを、無断でRT(リツイート)するのはやめてほしい――こんな「主張」をするアカウントがツイッター上で登場し、ネット上でちょっとした話題になっている。

   もちろんこの書き込みは、一斉に笑いのネタにされた。だが実のところ、インターネットの普及とともに、こうした議論はたびたび蒸し返されている。なぜだろうか。そこには、日本人の「国民性」も見て取れる。

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「RTするって事は無断転載と一緒だから」

「なんでツイッターってマナーのない奴ばっかなのかな(中略)いいから無許可リプライすんな許可とれやバカども」
「てか本来なら無断でRTするのもやめてほしい ツイートは俺の著作物だから RTするって事は無断転載と一緒だから」

   こんなツイートが書き込まれたのは、2018年8月7日のことだ。投稿者はアカウントを作成したばかりの一般ユーザーである。

   RTにせよリプライ(返信)にせよ、ツイッターをツイッターたらしめる、根幹機能といっても過言でない。それを「許可とれ」というのは、いかにもナンセンスである。この書き込みはたちまち晒し上げを食い、「馬鹿なの? それがTwitterだよ」「ならツイートしなかったらいいじゃないですか」「利用規約も読めないのか」といった「無断リプライ」が殺到、RTも13日までに3000件を超えた。

   その後、投稿者はツイートが「釣り」だったと明かしている。本気で「無断RT禁止」とはさすがに考えていないようだ。

画像「転載」で大騒動...無断RTを笑えない?

   今回の投稿をめぐっては、ほとんどのユーザーが「無断RT禁止」を笑い飛ばした。ツイッターはそういうものだ、利用規約を読めば一目瞭然じゃないか、と。

   一方で、ツイッター上ではそのちょっと前に、こんな騒ぎがあった。

   8月初頭、「Buhitter(ぶひったー)」なるウェブサービスが、突然注目を集めた。人工知能を活用して、ツイッター上で人気のイラストを自動的に収集、ランキング形式で掲載するというサイトだ。

   これに、多くのユーザー、特に自作イラストを投稿している「絵描き」たちから、猛反発が起きた。「私たちのイラストを、『勝手に転載』している!」というのである。サイトは炎上状態になり、「閉鎖しろ」「許さん」といった声が飛び交う騒ぎに。

   ところがツイッターでは、外部サイトなどでのツイート表示は、公式のAPIを用いている限り、規約上認められている。ツイッターに投稿している以上、この規約に合意することが求められる。端的に言えば、「私たちの絵を転載しないで!」という主張は、「無断RT禁止」と同じではないか――ツイッター上ではこうした反論が相次いだ。こうしたこともあり、騒動はひとまず沈静化した。

識者「『俺のモノは俺のモノ』意識が強い」

   とはいえ、依然としてBuhitterや類似サービスへの反感を示すアカウントは多い。

   ITジャーナリスト・井上トシユキさんは、こう分析する。

「日本人はネット、特にSNSに関して、友達相手に話している、プライベートな空間で話している、と考える傾向が強くあります。また、『良い情報は拡散され、みんなに共有される』というのがそもそものインターネットの思想ですが、日本人は『俺の(投稿した)モノは俺のモノ』という意識が強い。『ドラえもん』のジャイアンではありませんが......(笑)」

   「公の場」での発信という感覚が薄い一方、自らの投稿に対する所有意識は強い(「無断RT禁止」の書き込みでも、「ツイートは俺の著作物だから」と強調されている)。だからこそ、自分のツイート・イラストがコントロールできない形で広がることに、嫌悪感が強い――。

   「人の褌で相撲を取る」ことを嫌う風潮も相まって、たとえ規約上はOKだとしても、Buhitterのようなサービスには反発が出やすい、と井上さんは説明する。

「お気持ち案件」との揶揄も

   そもそも、この手の議論は新しいようで古いものだ。1990~2000年代前半には、相手の「ホームページ」に無断でリンクを貼ることは、「ネチケット」(ネット上のエチケット)違反だといわれた。インターネットの仕組みからすればおかしな話だが、こうした「ルール」よりも、ホームページの所有者の意向こそが優先されるべき、という考えは根強く存在した。「リンクフリー」という言葉が和製英語であることからもわかる通り、この議論は特に日本で顕著だった。

   「お気持ち案件」。ネットで最近、こんな言葉が流行りつつある。

   法律やルール上は、確かに問題ないかもしれない。だが、こちらの「気持ち」はどうなるのか。「気持ち」は考えてくれないのか。「気持ち」の上ではいかがなものか――往々にして起きる、このような議論を表現したものだ。

   「無断RT禁止」にしても、ツイッターのルールより「投稿者の気持ち」が大切だ、という主張だ。Buhitter騒動に対しても、この「お気持ち案件」という揶揄(やゆ)が相次いだ。

   ネット上での炎上騒ぎでは、こうした「お気持ち案件」が少なくない。さらに言うなら、ネットに留まらず、「お気持ち案件」は社会にあふれている。豊洲への市場移転をめぐり繰り広げられた「安全か安心か」論争は記憶に新しい。

   「無断RT禁止」。書き込み自体はネタだったが、図らずして「お気持ち案件」のややこしさを浮き彫りにした。

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